写真展|大久保 潤[でかける!]

大久保潤さんは1994年頃から、毎週協会へ行くときに、お母さんから24枚入のカラーフィルムを1本もらい、写真を撮っている。旅に出たときも写真を撮る。潤さんは押せば写るカメラにフィルムを入れたら、毎回、ものすごいスピードでシャッターを切り、あっという間に1本撮り終える。しかしよく見ていると、ちゃんと撮りたい場所を選んで、自分なりのタイミングでシャッターを切っている。そして、全てをサービスサイズに焼き、どんどん周りの人に配ってしまう。出来上がった写真からは、潤さんのそのときの被写体に対する勢いが感じられる。それらの写真を見た人は一様に「面白いね」と言いながら笑顔になる。潤さんの写真からは、写真を撮るときの原点みたいな衝動をそのまま感じることができる。そんな潤さんの写真を写真評論家の飯沢耕太郎さんは「横位置の中平卓?」と評した。(企画:姫崎由美)

企画:姫崎由美/企画協力:飯沢耕太郎/協力:土岐小百合

展示:2012年10月29日(月)〜11月3日(土)
12:00〜19:00(最終日〜17:00)入場無料

トーク|大久保 潤×飯沢耕太郎[天然写真家、現る!]
日程:11月3日(土)15:00〜
一般:1,000円/学生:800円



2011年に開催された大久保潤さんの個展「ちょっと訪ねたカンボジア」を見て衝撃を受けた。彼が知的障害者であることは、あらかじめ聞いていたのだが、そのことを抜きにしても、写真そのものがとてもいきいきとしていて面白かったのだ。
潤さんはあらかじめこれを撮ろう、あれを撮ろうと決めているわけではなく、その場にあるものにぱっと飛びかかるようにシャッターを切っている。構図や画面構成にも、どちらかといえば無頓着で、画面が少し傾いたり、手前や奥がボケたりしているものも多い。
でも、そういう写真の「完成度」など、どうでもいいと思わせてくれる天真爛漫なパワーがあふれ出ていて、そのエネルギーがまっすぐに伝わってきたのだ。もしかすると彼がやり続けているのは、写真という表現行為の原点回帰なのではないだろうか。発達したメカニズムと高度なテクニックに頼り過ぎて複雑骨折しかけている現代写真を、軽やかにひっくり返してしてしまう可能性が、彼の写真にはあるような気がする。
今回blanClassで開催される「でかける!」展では、彼が日々撮り続けている「恐るべき日常写真」が大量に展示される。ぜひ会場に足を運んで、その魅力あふれる世界に触れていただきたい。(飯沢耕太郎)








展示準備の様子1


展示準備の様子2


展示準備の様子3

大久保 潤 Jun OKUBO
1970年生まれ。1990年都立園芸高校卒業。学生時代に絵画教室「星の子」、書家・岡本光平の墨絵ワークショップに参加し、絵画制作を行なう。19年前より、24枚撮りフィルム1本分の写真を、毎週撮影し続けている。1997年より社会福祉法人かれん(神奈川)と、1996年よりNPO法人CES・八王子生活館所属。2001年、絵画作品での個展「色色の色」(東京・ギャラリー五峯)開催。以降、グループ展やTシャツ展に作品を出品している。2011年、写真での初めての個展「ちょっと訪ねたカンボジア」(東京・Green Café Saigohyama)開催。

姫崎 由美 Yumi HIMESAKI
2009年、知的障害者のポートレイト写真「gifted-誰かが誰かを思うこと-」で、第15回酒田市土門拳文化賞受賞。本業は知的障害者・ケアホームのスタッフ。写真を通して障害のある人と社会を結ぶ一助となるような活動にも取り組んでいる。


LINK
10月29日(月)~11月3日(土・祝)写真展|大久保潤[でかける!]|姫崎由美(blanClass+column, 2012-10-30)
写真の原点回帰-大久保潤さんの写真|飯沢耕太郎(blanClass+column, 2012-10-30)
10月29日(月)~11月3日(土・祝)写真展 大久保潤[でかける!]|小林晴夫(blanClass+column, 2012-10-30)
大久保潤写真展「でかける!」、今日から開催|by ときたま(blanClass+column, 2012-10-29)
これは障害のある人に対する見方を変えるものになるかもしれない!|姫崎由美(blanClass+column, 2012-10-27)
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横位置の中平卓馬、大久保潤クンの写真展「でかける!」|ときたま(blanClass+column, 2012-10-20)


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