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「原口典之インタビュー 2020 8月|物質から光へ 」10/31リリース!

10月の最終日になってしまいましたが、いよいよ「原口典之インタビュー」を10月31日からvimeoオンデマンドにてリリースします。

このインタビューは原口さんが住む岩手県北上市臥牛のスタジオで8月22日から24日の3日間に渡って収録されました。

8月4日に原口さんの息子さんから電話があり、そのとき初めて原口さんが病床に伏していることを知り、翌週8月12日に原口さんに会いに行きました。病状は思ったよりも悪く、びっくりしてしまって、大したことも言えずにモジモジしていたのですが、その日の夜、折り入って頼みがあると言われ、聞いたのが、小冊子をつくりたい。そのためにインタビューをしてほしいというお願いでした。

小冊子は小さなボリュームのもので、生きている間にいろいろな人たちに配りたいという話だったのですが、私はその依頼を断り、もしも映像でインタビューを収録し、ネットで配信するような方法だったら手伝っても良いと答えました。

小冊子をつくるということが、1997年にmarketというアーティストイニシアティブが運営する冊子の特集号を原口さんの「スカイホーク」で独占した企画と重なっていたこともあり、もう一度冊子をつくる気にはならなかったからです。

この提案に原口さん「へぇー、今どきは紙じゃないんだ。」と、思いのほか気に入ったらしく、即答でOKがでました。

「俺がこれまで取り組んできた制作やいろいろな人たちとの出会い、そういうことを今、もう一度振り返ってみたい、その上で、日本の現代美術がなんだったのかを独断と偏見を持って語ってみたい。」それが今回のインタビューの意向でした。

映像での収録と言ったものの、それが可能かどうかはわからない状態で、アーティストの荒木悠さんに相談をしました。彼はちょうど、blanClassを拠点に滞在制作をしながら、新作に取り組んだり、Bゼミを含めた日本の現代美術のリサーチをしようと計画していたので、今回の原口さんからのオファーに興味を抱くのでは? と考えたからです。荒木さんは快く協力を約束してくれたので、(実は荒木さんから返事を受けたのは、原口さんからインタビューの依頼を受けたその夜の続きだったので)、早速原口さんにできるかもしれないと伝えました。

一旦、横浜に戻り、撮影に小山友也くんが加わり、最小限のプロダクトを編成して、依頼を受けてから10日後の22日にまた岩手入りをしたわけです。

インタビューではこの先まだ何十年も制作を続けるのではと思わされるような言葉が散りばめられています。でも時折、その先がないことを聞き手の私も原口さん自身も気がつくことがしばしばあり、そのたびにどこかここではなところを眺めるような気持ちに襲われて、「死」とか「不在」とかの意味が頭をもたげました。

元気な頃から、何事に対しても相反する答えを用意して、人を困らせたり、作品の在り処にしてきた原口典之は、死の淵にあって、なお生きることと死ぬことを同時に味わいたいのだと確信しました。

私は批評精神の欠いた、ぼんやりしたことしか聞けなかったけど、そういう一人のアーティストだった友人の死に様のようなところにただ立ち会うことだけはできたので、そのことを多くの人と共有するために、blanClassで製作をし、映像の配信をすることにしました。

最後の収録日から3日後に原口典之は逝ってしまったから、奇しくもこれがアーティストがパブリックに向けた最後の言葉になりました。

編集は先述の荒木悠が最後まで担当してくれて、本人にも確認ができないし、ある意味でデリケートな状況の中で、最大限奮って仕事を仕上げてくれました。

このインタビューが歴史的な価値を持つかはわかりませんが、このような状況の中で自身を曝け出そうとするアーティストの姿勢に深く心を掴まれました。ぜひ多くの人に観て欲しいと思っております。

10月31日はもう1つそのインタビュー映像の編集を担当してくださった荒木 悠さんとオンラインでトーク配信をします。(一緒に岩手に行ってくれたことや、原口さんの最後の言葉について、荒木さんの今後の予定などをお話ししたいと思っています。)

「原口典之インタビュー 2020 8月|物質から光へ」は↓
https://vimeo.com/ondemand/haraguchi2020
からレンタルができます。(1,000円)

※下の方にvimeoオンデマンドの鑑賞方法も添えましたのでご参照ください。

小林晴夫

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原口典之インタビュー 2020 8月|物質から光へ(限定配信)
2020年10月31日(土)10:00 amレンタル開始(2021年3月まで公開予定)
1,000円でレンタル(30日間のストリーミング期間)
https://vimeo.com/ondemand/haraguchi2020

企画:原口典之 小林晴夫
出演:原口典之
聞き手:小林晴夫
撮影:荒木 悠/小山友也
責任編集:荒木 悠
英字幕(翻訳):Ryan Holmberg
題字:安部祥子
制作協力:原口承悟
予告編 編集:荒木 悠 音楽:原口承悟
ポスターデザイン:小山友也
協力:秦くるみ/石田貴裕/肥田葉子/青木礼子/森寺かい子/原口朝之/原口尚子/原口弓子
製作:blanClass

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2020/10/31/Yu ARAKI + Haruo KOBAYASHI/blanClass Broadcasting
2020/10/31/荒木 悠 + 小林晴夫/blanClass 放送室

配信日時:2020年10月31日(土)21:00〜

出演:荒木 悠 + 小林晴夫
スタッフ:安部祥子

一緒に岩手に行ってくれたことや、原口さんの最後の言葉について、blanClassでの滞在制作も含めた、荒木さんの今後の予定などをお話ししたいと思っています。

blanClass完全デジタル化計画

blanClassのニューサイトがオープンしました。みなさまいかがお過ごしでしょうか?

早いもので、blanClassのライブスペースを休業してからもうそろそろ1年が経とうとしています。休業前から、休業を機にblanClass公式サイトをリニューアルすると公言していたものの、なかなか実現できずにいましたが、とうとう新サイトが完成しました。今年の1月からデザインを担当してくれた山本聡志さんと安部祥子さんと私とで「webリニューアル会議」を始めたものの、ご時世で直接会うことが難しくなったため、2月からはオンラインで会議を続けました。

blanClass Live Art & Archive、その「Live Art」休業後の「Archive」部分をどうするか? というのが、このニューサイトに課せられたミッションなわけですが、単なる記録置き場にするのは抵抗があり、それらのコンテンツにもう一度息を吹き込みたいと考えました。また実感として、この5年PCサイトに動きが感じられず、スマホやタブレットに向けたサイトに取って代わったように感じていました。そこで、blanClassのニューサイトはスマホやタブレットでも手軽に操作ができ、あらかじめ検索ワードを持っていなくてもランダムに楽しめるよう、デザインを模索しました。結果できたニューサイトはとても満足のできる仕上がりだと思います。どうぞ存分にお楽しみください。

1年経つといえば、1年前にblanClass10周年記念とクロージングを兼ねたイベントのなかで、毎年10月17日を「blanClassの日」に制定したのですが、みなさま覚えていますでしょうか?

あの時みなさんに委ねられた、どんな日として「blanClassの日」を過ごすのか? という企画者からの問いかけは同時に長年blanClassを運営してきた私への問いかけでもありました。あの時私はなんと答えたのだったか?「なにもしたくない」だったか?「わからないや」だったか…。まあたぶん本当にそんな気分だっと思うのですが…。

私なりの答えというわけでもないのですが、今年の「blanClassの日」は久しぶりに放送室をします。

放送の内容は、ゲームやアプリなどに使われてきたデジタル技術を活用して、既存のアプリにはないものを作れないかと立ち上げた「blanClass eART Label」のプレゼンテーションです。小山友也、山本聡志、安部祥子、原口承悟と私の5人のメンバーで、zoomでつないでお話をします。

もしもまだ「blanClassの日」の過ごし方を決めかねているようでしたら、2020年10月17日(土)はblanClass放送室の久々の生配信をご覧ください。今後のblanClassの活動、アーカイブの管理のためにもぜひご支援ください。近々URLを発表します。

10月中にほかにも2つの企画を準備中です。

1つ目は、「原口典之インタビュー(映像)」の配信です。今年8月27日に急逝してしまいましたが、原口典之さんの強い要望があり、お住まい兼スタジオがある岩手県北上市臥牛を訪れ、インタビューを収録したのが、8月22日から24日のこと。くしくもアーティストの最後の言葉になってしまいましたが、このインタビュー映像を10月から期間限定公開(有料配信)します。

2つ目は10月半ばからblanClassで滞在制作を予定している荒木 悠さんとオンラインでなにかしら(トーク?)配信を予定しています。(荒木さんは一緒に岩手に行ってくれて、原口さんのインタビューを撮影、インタビュー映像の責任編集を担当してくれました。)

これまで人々が集まることで実現する芸術の可能性を模索をしてきたblanClassですが、この「コロナ渦」という大変な状況もあって、その対策を考える上でも、それはパンデミックが起こる前から、ちょっとずつ考えてきたこととも重なっていて、場を共有する喜びとは逆に、アクセスの難しさなどのデメリットも感じてきたので、より多くの人にアプローチできるデジタルインフラを利用した表現の場づくりを目的に転換することにしました。そう簡単なことでもないでしょうが、これまでとは違う時間の使い方をしながら、今後はニューサイトを一つの場としていろいろとデジタルコンテンツを発信できる場に育てていきたいと考えています。

小林晴夫
2020.10.09