Event

blanClass+神村恵

身ひとつで生きる

2024.03.15—2024.06.09

Live ArtツアーblanClass+神村 恵[身ひとつで生きる]@BankART Life7

blanClassがBankART Life7(ヨコトリの連携プログラム)に出張参加します。BankART Stationの展示にも参加しますが、2019年の休業以来、久しぶりにblanClassのLive Artが復活します。今回のLive Artはツアー型。共同ディレクションに振付家でダンサーの神村恵を迎え、6組のアーティストと一緒に「身ひとつ」をキーワードに、都市を巡るイベントを開催。その様子は、随時BankART StationでのArchive展示に反映しました。

今井しほか+大石一貴
神村 恵 
佐々木文美
大東 忍 
ミルク倉庫+ココナッツ(宮崎直孝 松本直樹 西浜琢磨 田中丸善一 大久保あり 瀧口博昭)
山本浩貴(いぬのせなか座)

ディレクター:小林晴夫/神村 恵 
スタッフ:安部祥子/山本聡志

Archive 展示
BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」の入口付近にblanClassのブースを設置、ブース内ではLive Artツアーのアーカイブのほかに「奥能登アートクラフト」の展示 +shopも併設します。
会場: BankART Station 〒220-0012 横浜市西区みなとみらい5丁目1 新高島駅 B1F
展示期間: 2024年3月15日(金)〜6月9日(日)11:00〜19:00
休館日: 木曜日[4/4、5/2、6/6を除く]
料金:BankART Life7パスポート 一般 ¥1,000/高校生以下 無料(ヨコトリとのセット券もあります)

Live Artツアー
日程:毎週土曜日(3月23日〜6月8日)全12回 
料金:1,000円 各イベントの日程・料金・時間などはおもて面をご覧ください。
イベントに参加する際には、BankART Life7単体パスポートか、セット券が必要です。
受付・集合場所:BankART Station 〒220-0012 横浜市西区みなとみらい5丁目1 新高島駅 B1F
予約:https://bankartlife7-blanclass.peatix.com/
お問合せ:event@bankart1929.com

Live Artツアー・スケジュール

①3/23 神村 恵[裏と表を合わせてみる #1]
②3/30 山本浩貴(いぬのせなか座)[「死からの視線」をつくる #1]
③4/6 ミルク倉庫+ココナッツ[配牌パイズダービー #1]
④4/13 佐々木文美[空中の歩道橋 #1]
⑤4/20 山本浩貴(いぬのせなか座)[「死からの視線」をつくる #2]
⑥4/27今井しほか+大石一貴[影を描く、影を送る #1]
⑦5/4 ミルク倉庫+ココナッツ[配牌パイズダービー #2]
⑧5/11 大東 忍[例えば灯台になること #1]
⑨5/18 神村 恵[裏と表を合わせてみる #2]
⑩5/25 今井しほか+大石一貴[影を描く、影を送る #2]
⑪6/1 大東 忍[例えば灯台になること #2]
⑫6/8 佐々木文美[空中の歩道橋 #2]


BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」にblanClassとして参加する。そして期間限定ではあるが、blanClassのLive Artが実に4年ぶりに復活をする。blanClassへのミッションは、このエリアに、もうひとつのレイヤーを創出すること。

このミッションへの回答のひとつは、振付家でダンサーの神村恵さんを共同でディレクターに迎えること。神村さんは、軽やかで、誰とも違う視点からアプローチするアーティスト。きっとこの企画に珍しい視点を持ち込んでくれるはず。そして神村さんとの最初のミーティングで出てきたキーワードが「身ひとつ」だった。

「身」には、何かを、担ったり、抱えたり、背負ったり、何かが、のしかかったり、乗っかったり、何かを、携えたり、従えたり、何かが、刻まれたり、重なったり…、何かに要求され、欲望し、虐げられ、抑圧され、そして今や常に何かと繋がってしまっている。

そもそもダンサーにとって「身ひとつ」が当たり前の条件かもしれないけれど、身体とも、からだとも言わないで、あえて「身」と言い直すことで、できるだけ身軽に、「身」に起こることを考えてみたい。

と、ここまでは昨年末に考えたこと…。ところが、元旦に能登半島で地震が起こり、文字通り「身ひとつ」で放り出された遠くの人たちを思うと、不謹慎なのではないかと悩んでしまった。地震だけではなく、戦争や紛争の下、不安定な土地にいる人たちのことだって考えてしまう。

でも逆にだからこそ、誰の「身」にも起こり得る、過酷な状況のことも重ねて、「身」について考えることも可能かもしれない。さらに、ひとつひとつの「身」が、仮に孤立しても、緩やかにつながることができるような、自律分散型の社会を夢見て、「身ひとつで生きる」という言葉に息を吹き込んでみよう。

参加するアーティストは、神村さんも含め、それぞれが独特の視点を持って表現をしてきた6組のアーティストたち。街の上に、街の中に、街の下に、何を見出し、何を重ねてくれるだろうか?

小林晴夫(blanClassディレクター・アーティスト)


blanClassの小林さんから、横浜の街で行う企画を一緒に考えてくれないかと依頼があったのは、年末近くでした。なるべく“身ひとつ”で街に出ていき、動いたり考えたりしてみたい、という方向性を示されました。

「身ひとつで生きる」という言葉は、いかにも魅力的な響きを持っています。慣習や前提にとらわれない、孤独を恐れない、なるべくものを持たないなどの、自由で身軽な状態を想起させます。

しかし実際のところ、社会生活を送る以上は、本当に身ひとつで生きることは難しいことだと分かります。公共の場で服を着ていなければ、警察が飛んでくるでしょうし、災害や戦争などの状況で路上に放り出されたら、寒さや暑さ、他者との軋轢、外界との物理的な接触や衝突から自分の身を守るための道具や環境を、必死で手繰り寄せることになるでしょう。

「身ひとつで生きる」ことは、誰にとっても不可能で、実現してしまうのは避けるべきであるにもかかわらず(であるがゆえに)、情報やものや関係性にがんじがらめになる現代の生活の中で、忌避されながらも、同時に夢見られるような対象であると言えるでしょう。

字義通りに「身ひとつ」を実現することは不可能だとしても、少なくともそれが持つ両義性を、経験するということは可能かもしれません。

「身」という言葉は、人の身体を指すと同時に、皮や表面に覆われた中身を指す場合もあるし、「身を立てる」「身の程を知る」などの表現に見られるように、社会的関係性の中にある状態も意味します。また、「勉強に身を入れる」などの表現があるように、人の心や意志を指す場合もあります。いずれの場合も、何らかの表層に覆われている“中身”、何らかの関係性や空間の中にあるものを指しています。
そのように見ていくと、「身ひとつ」は、剥き出しの状態のように見えても、依然として何かに覆われている、何かの中にある状態だとも言えます。

このイベントにおいて、身ひとつで街に出るとは、自分がなるべく装備や準備を置いて外に出たとき、それでも何かに包摂されている、何かに覆われている状態を改めて発見するというトライアルになるのかもしれません。

もしくは、「身ひとつ」は、都市生活の安全さと便利さに浸っているもの特有のお気楽なファンタジーだということを、確認する作業になるのかもしれません。

3ヶ月間に渡って毎週土曜、6組のアーティストが、横浜の街と対峙し、街を舞台や道具、素材とした
何らかの出来事を、参加者の皆さんとともに作り出します。

ぜひ、身ひとつでご参加ください。

神村 恵(振付家・ダンサー)


予告編動画

【予告編】神村恵×小林晴夫[身ひとつで生きるについて ]pretalk
【予告編】神村 恵[裏と表を合わせてみる]身ひとつで生きる(blanClass+神村 恵)
【予告編】山本浩貴[死からの視線をつくる]身ひとつで生きる(blanClass+神村 恵)
【予告編】ミルク倉庫+ココナッツ[配牌パイズダービー]身ひとつで生きる(blanClass+神村 恵)
【予告編】佐々木文美[空中の歩道橋]身ひとつで生きる(blanClass+神村 恵)
【予告編】今井しほか+大石一貴[影を描く、影を送る]身ひとつで生きる(blanClass+神村 恵)
【予告編】大東 忍[例えば灯台になること]身ひとつで生きる(blanClass+神村 恵)

同時開催 [身ひとつで生きる〜奥能登アートクラフト]
2024年元旦に起こった能登半島地震で被災した奥能登のクラフトアーティストたちへの応援プロジェクト。

3/15ー6/9
https://blanclass.com/ja/events/20240315-20240609-2/

3/16、17、23、27、4/13
YUKAKU 諸石優子・諸石健太郎[のとのおわん]
https://blanclass.com/ja/events/20240316-20240414/

5/5
今瀬風韻/加藤修央/高畑圭介/萩のゆき/山田睦美[身ひとつと、ひとりひとりの明日の話]
https://blanclass.com/ja/events/20240505/


BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

BankART Life7は、第8回横浜トリエンナーレ連携事業。みなとみらい線「新高島駅」地下1階に広がる大空間「BankART Station」を起点として、みなとみらい21地区、関内地区、ヨコハマポートサイド周辺地区の3つのエリアの日常空間に作品を展開する展覧会。さらに多様なガイドによる「ツアー」も開催された。

会場:BankART Station+周辺各所(関内地区/みなとみらい21地区/ヨコハマポートサイド周辺地区)
会期:2024年3月15日[金]〜6月9日[日]
時間:11:00〜19:00(BankART Station)
休館日:木曜日[4/4、5/2、6/6を除く](BankART Station)
料金:BankART Life7単体パスポート 一般 ¥1,000/高校生以下 無料
セット券(横浜トリエンナーレ+BankART+黄金町バザール)
一般3,300円(3,200円)/横浜市民3,100円(3,000円)/学生2,000円 ( )は前売料金
※BankART Life7と黄金町バザール2024はパスポート制

主催:BankART1929
共催:横浜市にぎわいスポーツ文化局、横浜トリエンナーレ組織委員会(馬車道駅コンコース作品のみ)、パシフィコ横浜(ぷかりさん橋会場のみ)、ヨコハマポートサイド街づくり協議会(ヨコハマポートサイド周辺地区のみ)
協力:横浜高速鉄道株式会社、株式会社ココラボ、株式会社青柳建設、Yokoito Additive Manufacturing、株式会社鈴木事務所(YSDO)、カモ井加工紙株式会社、株式会社カシマ、The Third Gallery Aya、Yumiko Chiba Associates、ANOMALY、KAYOKOYUKI 、一般社団法人HAPSほか
その他:作品設置に関係いただいた施設・店舗関係者の皆様、ツアーにご協力いただいた皆様
連携事業:第8回横浜トリエンナーレ