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杉田 敦 ナノスクール 第5期

How to be tolerant:寛容になるための方法

2018.04.27—2019.03.29

月イチセッション
杉田 敦 ナノスクール《nano school》[How to be tolerant:寛容になるための方法]

あなたの横を、いかにも先を急いでいる男が通り抜けてゆく。肩にかけているバッグがあなたにあたる。あなたはすこしよろめいてしまう。男は気づいている。男は振り向かない。遠ざかりながら、男の舌打ちが聞こえてくる。あなたは怒りがこみ上げてくる。あなたに為すすべはない。

あなたはどうして怒ってしまったのだろう。男には先を急ぐ理由があり、あなたは少し男の行手を塞いでいたのだ。いや、男にはこれといった理由もなく、あなたは十分、身を寄せていたのだとしてもだ。あなたは怒る必要はない。あなたはあなたの貴重な人生の時間を、そんなことのために費やすべきではない。あなたはちょっとだけ肩をすくめて、なんなら、振り向いて、後ろの人と笑い合ったっていいはずだ。

数学や英語、歴史学や社会学、そうしたものを学ぶのと同じように、わたしたちは寛容さを学ばなければならない。ナノ・スクールの第5期は、”How to be tolerant:寛容になるための方法”と名付けて、寛容について考えます。一年を通して、Fischli & Weissの”How to work better”のような標語を作成できたら素晴らしい。

杉田 敦[ナノスクール]は金曜日に月1回のペースで開催しました。
参加費:1,500円/学生 ¥1,000円(要予約)
参加資格:高卒同等程度以上
軽食(無料)もご用意しております。


#50[_#0]
日程:2018年4月27日(金)18:30-

知っていると思い込んでいることを可能な限り小さくして、再び、本当の意味で知るために努力してみること。アートにとって重要だと思われるそうした姿勢をいろいろ試してきた、極小の学校、ナノスクールが、1年ぶりに帰ってきます。

井土ケ谷事件の当事者になってみるというスタートから、「協調/反駁/誤解」、「そこにそれはない、あるのかもしれないけれど」、「裸になること、左になること」、「ブッダに会ったらブッダを殺せ」とテーマを替えて開催してきたナノ・スクール第5期のテーマは?

とりあえずナノスクール再開、最初の授業は、教授会兼学生総会的な感じでどうするか話し合ってみるのも良いかな? ということで、ぜひ全員参加でお願いします。もちろん初めての人でも歓迎です。

#51[How to be tolerant:寛容になるための方法 #1]
日程:2018年5月25日(金)18:30〜
 
あなたの横を、いかにも先を急いでいる男が通り抜けてゆく。肩にかけているバッグがあなたにあたる。あなたはすこしよろめいてしまう。男は気づいている。男は振り向かない。遠ざかりながら、男の舌打ちが聞こえてくる。あなたは怒りがこみ上げてくる。あなたに為すすべはない。

あなたはどうして怒ってしまったのだろう。男には先を急ぐ理由があり、あなたは少し男の行手を塞いでいたのだ。いや、男にはこれといった理由もなく、あなたは十分、身を寄せていたのだとしてもだ。あなたは怒る必要はない。あなたはあなたの貴重な人生の時間を、そんなことのために費やすべきではない。あなたはちょっとだけ肩をすくめて、なんなら、振り向いて、後ろの人と笑い合ったっていいはずだ。

数学や語学、歴史学や社会学、そうしたものを学ぶのと同じように、わたしたちは寛容さを学ばなければならない。ナノ・スクールの第5期は、”How to be tolerant:寛容になるための方法”と名付けて、寛容について考えます。一年を通して、Fischli & Weissの”How to work better”のような標語を作成できたら素晴らしい。

#52[How to be tolerant:寛容になるための方法 #2]
日程:2018年6月29日(金)18:30〜

〈ナノスクールを振り返る 2018.6.29
寛容になるための方法と題して始まった今季のナノスクール。6月の実践は「旗を作る」でした。
国旗やチーム旗など、ある集団のシンボルであり拠り所になるアイテムである旗を予測不可能な方法によって作りました。旗に描かれる絵の原画は前々回ナノスクール内で書かれ、参加者全会一致で選出されたものです。その原画をもとに一人ワンパーツずつ白い布に描いていきました。描く人だけ隣の部屋に行きワンパーツ描き戻ってくる。そして次の人が次のパーツを描きに隣の部屋へ…。
自分が描いたパーツがこの後どうなってしまうのか、そして次に描く自分の目の前にはどんな絵が描かれているのか。予測やコントロールができない中での制作。前に描かれた絵につられながら、次に描く人へなにかアクションを起こしながら、もしくは次の人につなぐために。
最後に”How to be tolerant”と文字を入れて完成です。
こうしてできた、今期のシンボルである旗のもと、さらに寛容になるための方法を模索していきます。(宮澤 響)

#53[How to be tolerant:寛容になるための方法 #3]
日程:2018年7月27日(金)18:30〜

「今この瞬間」に100%集中する+「ジャッジしない」

瞑想で浮かんでくる雑念や思考、感情に対して、判断をせずに、ありのまま観察する。瞑想を行うと様々な思考が浮かんできます。これら事態をジャッジせずに観察する。感じたことや思考に対して、考えるのではなく、「それが浮かんだな」「雑念が浮かんでるな」「音がするな」「集中できていないと思っているな」と、観察するのです。そして、また意識を「今この瞬間」に戻していきます。雑念、思考、感情が現れても、それに反射的に対応をせず、ありのまま観ていくことが大切です。ステップ1 「調身」姿勢を整える
ステップ2 「調息」呼吸を整える
ステップ3 「調心」心を整える(マインドフルネス瞑想)
(杉田 敦 配布資料より)

〈ナノスクールを振り返る 2018.7.27〉
寛容になるための方法、そして実践。前回のナノスクールは瞑想に挑戦しました。瞑想にも様々な種類があり、ヒンドゥー教などで行われるヨーガなどが有名だが、ナノスクールではマインドフルネスという瞑想法を実践しました。マインドフルネスは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれない状態で、ただ観ること」と説明されている。つまり今現在起こっている全経験に注意を向けるという心理過程を瞑想を通して行うというものである。では具体的にマインドフルネスとは何か、上記にあげた実践方法を見ていこう。
ステップ1「調身」は自分が一番ちょうどいいと思える体勢。ステップ2「調息」は自分の呼吸を意識する。そして、瞑想に入っていく。以上が実践方法である。毎月、重ねられていくであろう「寛容」への道はまだ始まったばかりだ。(宮澤 響)

#54[How to be tolerant:寛容になるための方法 #4]
日程:2018年9月28日(金)18:30〜

#55[How to be tolerant:寛容になるための方法 #5]
日程:2018年10月26日(金)18:30〜

〈ナノスクールを振り返る 2018.10.26〉
前回のナノスクールは「寛容になるための音楽理論的アプローチ」を行いました。音楽から寛容なるためのヒントを得ようということで、いくつかの音楽理論を参考に考えた。
1つ目はモード奏法。モード奏法はコード進行よりもモード (旋法)を用いて演奏されるジャズの奏法で、1959年リリースの、マイルス・デイヴィスのアルバム「カインド・オブ・ブルー」で完成されたのだそうだ。
2つ目はポリフォニー。ポリフォニー は、複数の独立した声部(パート)からなる音楽のこと。ただ一つの声部しかないモノフォニーの対義語として、多声音楽を意味する。主旋律と伴奏という関係ではなく、すべての声部が対等な関係にある。(モード奏法、ポリフォニーの解説は杉田 敦配布の資料より)
マイルス・デイヴィスを聴きながら、コード進行に縛られないアドリブから寛容について考える。そしてポリフォニーの音楽理論である多声音楽から、寛容を考える。
モードは抱えている雑多な思いの軌道から外れたところで思考すること。ポリフォニーは雑念を雑念のまま受け入れること。
やや無理やりかもしれないが、実際にこの理論を思考の方法に取り入れてみることはできそうだ。効果があるかどうかはやってみないとわからない。
これは、思考の実験であり実践でもある。
次回も寛容になるための実践は続く…。(宮澤 響)

#56[How to be tolerant:寛容になるための方法 #6]
日程:2018年11月16日(金)18:30〜

〈ナノスクールを振り返る 2018.11.16〉
11月のナノスクールはStuart RingholtがdOCUMENTA (13)で発表した[Anger Workshops]とバグワン・シュリ・ラジニーシの思想、そしてオームという呪文をもとに寛容について考えた。
初めにStuart Ringholtの[Anger Workshops]を体験する。[Anger Workshops]はdOCUMENTA (13)で発表されたワークショップ、参加者は怒りと、愛を身体で表現します。
詳しい内容は「まず、一つ目のフェーズでは爆音で流れるハウスミュージックの中で全身を使い怒りを表現します(5分間)。次のフェーズではモーツァルトの音に乗せて、愛について考えそれをほかの参加者に伝えます(3分間)。そしてその後、それまでの8分間の経験について、参加者同士で語り合います。」
実際に我々がやって見たところ、少し芝居染みた感じになってしまう。多分本物のほうは物凄いエネルギーのなかで行われていたのだろうと思うのだが、なぜだろう。気になる方は一番下に載せた[Anger Workshops]のアーカイヴ写真が見れるサイトのURLを開いて見てください。
一つ思うのは、日々感じる自分自身のイライラや怒り、そして相手の怒りやイライラは、ちょっと見えずらいかたちで、複雑で、でも怒りがあるような無いような、、、。と言う中で過ごしているのかもしれない。つまり何に寛容になるべきなのかがまずよく分からない状態なのかなと感じる。
そして次に、バグワン・シュリ・ラジニーシの思想について考える。その思想とは「真理の探究こそ第一の優先事項であり、人は自らの生の源泉を探究することに関心を寄せねばならないと説く。瞑想が始まりでサマディ(悟り)が終着と説く。(「からっぽの鏡・馬祖 壮神社」)
そしてオーム。オームはバラモン教をはじめとするインドの諸宗教において神聖視される呪文で日本でもヨガのクラスで唱えられる事が多いらしい。
瞑想を必要としてるのかナノスクールでは最近このようなテーマが多いのですが、バグワンの文章でこんな記述があったのでなんとなく重要だなと思い最後に載せておきたい。
「人をほんとうに助けようとするならば、誤解されるのは避けられない。ほんとうに助けようとするつもりがないなら、誤解されることもない。崇拝や賞賛の的になれる。ただ話をし、哲学を説くだけなら、人は怖がらない。彼らの人生に立ち入ろうとしないなら。
複雑な理論や思想体系を人は学びたがる。それなら申し分のない体験になる。それはエゴを強化してくれる。それはエゴを養ってくれる。だれもが知識を増やしたがっている。それは微妙にエゴを肥やす。
(中略)
人に全面的な変容をもたらすには、ハンマーを使わなければならない。人を形作っている多くの部分を削り落とす必要があるからだ。人はひどい状態にあり、現状では、すべてがおかしなことになっている。それを直さなければならない。だが、人は自分の生き方にたいへん固執しているので、それを変えようとする人物、表面的に変えるのではなく核心において変えようとする人物は敬遠される。怖がられる。少数の勇気ある者だけが、グルジエフのような人物に近づいていく。たいへんな勇気が必要だ。だが、この勇気があってはじめて、人は生まれ変わることができる。」― Osho, “The Dhammapada” Vol. 2, #2 冒頭部分
このテーマもあと数回のナノスクール、果たして寛容になれるのでしょうか!?
Stuart Ringholt: Anger Workshops
http://performa-arts.org/…/entry/stuart-ringholt-anger-work…(宮澤 響)

#57[How to be tolerant:寛容になるための方法 #7]
日程:2018年12月14日(金)18:30〜

〈ナノスクールを振り返る 2018.12.14〉
12月のナノスクールはある集団の中に身を置いた時の寛容について、考えました。
例に挙げられたのは宗教。近年のミャンマーでの仏教徒によるイスラム教系少数民族のロヒンギャ族への弾圧のニュースは衝撃であった。ほかにも異宗教間の対立は常に起き続けている。
古代イランで誕生したゾロアスター教は、寛容、やさしさ、思いやり、献身などという教義を掲げているが、異教徒に対しては敵対的であるとされている(杉田 敦、配布プリントより)。
日本の神道も、明治以降国教化と結びつき、多宗教への排他的な姿勢を見せていった。
私自身、宗教信仰はないが、いわれてみればある帰属は持っているのではないかと感じる。
日本人である。男性である。映像をやっている。以前、blanClassのスタッフであった。東京都出身である。血液型はA型である。
自分を構成する、大小さまざまなコードがあり、それを信じ、発言し行動している。それは、当たり前の営みではあるが、いつでもそれをもとに誰かと対立する可能性は持っているのかもしれないと思う。
12月も毎回のように、寛容ってどうすればいいのだろうと考え込んでしまった。(宮澤 響)

#58[How to be tolerant:寛容になるための方法 #8]
日程:2019年1月25日(金)18:30〜

#59[How to be tolerant:寛容になるための方法 #9]
日程:2019年3月22日(金)18:30〜

#60[How to be tolerant:寛容になるための方法 #10]
日程:2019年3月29日(金)18:30〜

2012年10月よりほぼ毎月開催してきたナノスクールも今回で最後ついに一応の終幕を迎えます!
私はスタッフとして多分2014年あたりから参加してきました。[そこにそれはない、あるのかもしれないけれど](2014年~)、[裸になること、左になること](2015年~)、[ブッダに会ったらブッダを殺せ](2016年~)、[How to be tolerant:寛容になるための方法](2018年~現在)というタイトルのテーマのナノスクールに参加し、消費や、政治思想、宗教思想、そして寛容について皆さんと考えてきました。そのどれもが、尻切れで、結論を出せないまま終わっていくものばかりでした。ただ、その姿勢がナノスクールのとても重要なポイントなのかなと、今になってみて感じています。結論ありきの、仮説を立てた実践ではなく、様々な事例から、それを真似したり、組み替えたりしながら、遊んでみること。それがナノスクールの実践なのだと思う。
先週のナノスクールで通常会は終了し、今回はblanClassで開催される最後ということで、これまでの振り返りや、今後のナノスクールについての発表、そして今回のテーマ「寛容になるための方法」の一応の成果である「寛容Tシャツ」の予約会などが行われる予定です。ほかにも何か起こるかも?

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カジュアルなパーティーに参加される気持ちで、ナノスクールの終わりの始まりを皆さんでお祝いいただけたら幸いです!


〈予約方法〉
ご予約は前日までにご連絡をお願いします。なお定員に達した場合などお断りすることもございますので、あらかじめご了承ください。
〈タイトル〉ナノスクール予約〈本文〉1)日にち 2)氏名 3)住所 4)メールアドレス 5)参加人数
上記の内容でイベント前日までに以下のメールアドレスに送信ください。こちらからの返信を持って予約完了とさせていただきます。
info@blanclass.com

※ナノスクールは完全予約制となります。 参加資格は、アート、あるいはそれに関連する分野の専門家、あるいは専門家を目指す人とさせていただきます。


杉田 敦 Atsushi SUGITA
美術批評。オルタナティヴ・スペース art & river bankディレクタ。女子美術大学教授。最近の著書に、『静穏の書』、『ナノ・ソート』(共に彩流社)、『アートで生きる』(美術出版社)、『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房)、『inter-views』(美学出版)がある。作品に”critics coast”(越後妻有アートトリエンナーレ, 2009)など、キュレーションにポルトガルの現代美術展『極小航海時代』(JAM)などがある。また、批評タブロイド紙 “+journal” の編集、アーティストの増本泰斗と、ディスカッション・プロジェクト”Picnic”も行っている。