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杉田 敦 ナノスクール 第4期

ブッダに会ったらブッダを殺せ

2016.04.15—2017.03.11

杉田 敦 ナノスクール《nano school》[ブッダに会ったらブッダを殺せ]

極小の学校、ナノスクール第4期。知っていると思い込んでいることを可能な限り小さくして、再び、本当の意味で知るために努力してみること。アートにとって重要だと思われるそうした姿勢を、これからもいろいろ試していければと思います。

井土ケ谷事件の当事者になってみるというスタートから、「協調/反駁/誤解」、「そこにそれはない、あるのかもしれないけれど」、「裸になること、左になること」とテーマを替えて開催してきたナノ・スクール第4期は、「ブッダに会ったらブッダを殺せ」のタイトルのもと、権威から自由になり、自律性を保つための精神そのものについて考えます。五日市憲法、文化学院、ホモ・ソーシャル連続体、イスラ・クラブ、グルジェフ、ゾロアスター教、シュタイナー、大逆事件、人間原理、安藤昌益、ブランショ、セリーヌなどがテーマとなります。指摘しやすい権威のみならず、ときにそれを糾弾するものの中にさえはびこっているはずの権威の本質を凝視め、考え、試み、挑みます。
また、現在開催中の《第3回イドガヤ・ビエンナーレ》(2017年12月12日まで開催中)は随時振り返りながら、今後のあり方について考察していけたらと考えています。

杉田 敦[ナノスクール]は金曜日に月1回のペースで開催しました。
一般:1,200円/学生:1,000円
参加資格:高卒同等程度以上
軽食(無料)もご用意しております。


#38[ブッダに会ったらブッダを殺せ #1]
日程:2016年4月15日(金)18:30〜

第4期のサブタイトル[ブッダに会ったらブッダを殺せ]は、臨済禅師の言葉が発端なのは間違いないのだが、杉田氏が、このタイミングでこのタイトルを持ってきたのはシェルドン・コップの同名の著書からの引用なのだそう。
この本の中で、シェルドン・コップは、臨床心理学における、カウンセラーの立場が患者に対して上位になってしまいがちなことを問題にし、いかに医者と患者が対等な立場を保ち続けることが可能かを、考察しているのだという。
ナノスクールにおいての杉田氏自身の立ち位置と参加者たちとの関係にも置き換えられる話。というわけだから、第4期では、いかに対等な関係を保ちながらスクールが展開していけるかといところが肝になっていくのだろうか?(小林晴夫)

#39[ブッダに会ったらブッダを殺せ #2]
日程:2016年5月20日(金)18:30〜

ナノスクール第4期のテーマが「ブッダに会ったらブッダを殺せ」になってからというもの、ブッタを殺すために何かを考えるというよりも、その手前で、自分は何を信じているのだろうかということを参加者のそれぞれが探っているように見える。いざ、「あなたの信じているものは何ですか」と聞かれると、口籠り、はっきりと具体的なもの言えないというのが僕自身の正直なところでもある。
前回のナノスクールでは、やはり多くの時間をそれぞれが「何を信じているのか」ということを考え、言葉にしていくことに割いていたように思う。
信じるということで言えば、宗教における信仰が僕にとっては大きなものに見えるのだが、もともとある宗教観を持っている人たちにとっては、そこまで大きなものではないみたいだ。ただ、隣にあるもの。隣か、前か後ろか上かわからないが、そんな感覚なのかもしれないとなんとなく感じた。
そういう思考の中で、自分の生活を考えてみる。経済や、産業、科学技術、政治、そして、自分の身体。そのどれもを、当たり前のように飲み込んで、当たり前のように生活をしている。まずはそういう当たり前を疑ってみるということも必要なのかもしれない。
まだまだ始まったばかりの今期のナノスクール。大きく見えてしまう世界をナノにしながら、そこを手掛かりに自分にとってのブッタについて考え、それを殺す方法を考えてみたいと思います。(宮澤 響)

#40[ブッダに会ったらブッダを殺せ #3]
日程:2016年6月10日(金)18:30〜

6月のナノスクールでは「歴史としてのブッタ」を考えた。いや「歴史としてのブッタ」ってなんだ…?。僕も正直よくわからなかった。
杉田 敦が言うには、自分の中で重要な歴史的な出来事を、それ自体を本当にあったものなのかということを疑ってみたいという話だったのだと思う。例えば、南京大虐殺が本当にあったのかという議論はずっと行われてきた。だが戦争自体があったのかどうかという議論はない。
議論はないというか、そういう次元でもない気がするが。でも「そういう次元でもない」と思ってしまうこと自体を疑うことのエクササイズなのだろう。
戦後71年を迎える今、現在を生きる僕はメディアを通してみたり聞いたりしたものを元に、戦争という歴史認識というものを、おぼろげながら作ってきた。それは、これまで実際に流れてきた時間の中のある点にアクセスして、その点を一つ一つ考えているということになるのだと思う。いや、定義付けていると言った方が近いかも。そこには、断絶や、接続がある。そして、もちろんそれぞれの中での価値付けみたいなものもあると思う。
でも、過去の出来事を点で見ることを一度止めて、時間のグラデーションとしての歴史を見たときに、そこには何があり、何を語ることができるのだろうか。と、いうことなのだろうか?(宮澤 響)

#41[ブッダに会ったらブッダを殺せ #4]
日程:2016年7月8日(金)18:30〜

前回のナノスクールでは選挙が終わった直後ということもあり、選挙に関するこんな課題が出ました。

【課題】参院選挙投票用紙(フェイク)に”自由民主党”と書く

選挙用紙に自由民主党と書いたことのない人はこの画像をプリントアウトして是非やってみてください。感じたことのない何かを得られるかもしれません。(宮澤 響)

#42[ブッダに会ったらブッダを殺せ #5]
日程:2016年9月16日(金)18:30〜

#43[ブッダに会ったらブッダを殺せ #6]
〜第3回イドガヤ・ビエンナーレ 2/3会〜
日程:2016年10月14日(金)18:30〜

第3回イドガヤ・ビエンナーレが始まったが2014年10月のこと。会期は3年で来年の10月まで開催している。消費されえないものを作るという試みから生まれたこの国際展は開始から2年が経ち、もう出品アーティストすら、この存在を忘れているのではないだろうか。
そんな第3回イドガヤ・ビエンナーレが2/3終了したところで、新たに第4回イドガヤ・ビエンナーレなるものが開催されるらしい。今回も前回と同様に作品を誰でも登録できるみたいだ。その内容とは「世界で起こっていることのなかからひとつを選択し、あなたの作品として登録」できるというものだ。
第3回イドガヤ・ビエンナーレは、会場はblanClassとなっているが、出品作家が考えたタイトルが用意されているだけで、会場にモノとしての作品があるわけではない。つまり、見に来ても何もない。今も展覧会は続いているが、何もない。
そんな第3回イドガヤ・ビエンナーレで印象に残っている出来事がある。展覧会が始まって一ヶ月くらいした頃だっただろうか。土曜日、Live Artのイベント(ナノスクールとは関係のない)の前、準備をしているとある男性が訪ねてきた。「イベントは夜からですよ」と僕が言うと「イドガヤ・ビエンナーレを見に来ました」とその男性は言った。僕はどうしていいかよくわからなかったが作家名とタイトルが書かれた紙を渡した。5分後くらいに、その人は「ありがとうございました」とだけ言って帰って行った。その時、「今の時間は何だったのだろう」という、なんとも定義付けられない感情が自分の中に沸き起こった。それを思い出して、現在モヤモヤしているところだ。
今回、新たに始まる第4回イドガヤ・ビエンナーレはどんな展覧会になるのだろうか。消費という概念から少し外れて、実践し考えてみる機会として第4回イドガヤ・ビエンナーレのオープニングに参加して欲しい。(宮澤 響)

#44[ブッダに会ったらブッダを殺せ #7]
日程:2016年11月18日(金)18:30〜

先月のナノスクールで始まった第4回イドガヤ・ビエンナーレは「世界で起こっていることのなかからひとつを選択し、あなたの作品として登録」するという国際展だ。ひとまず、10月のナノスクールの中でその日の参加者がそれぞれ出品する「世界で起こっていること」を出品し、展覧会はスタートした。
もうすでに先月出された作品のリストはできている。これを見る限り、誰がどのように選択したかが語られていない抽象的な部分と、実際に起きていることとしての具体性の両側面があり、その間に何を見ることができるのか、というところに個人的には興味を抱いている。
第4回イドガヤ・ビエンナーレの公募締め切りは11月18日(金曜日)ナノスクールの終了時なので、迷っている方は今月のナノスクールに参加していただき是非応募していただきたい。(宮澤 響)

#45[ブッダに会ったらブッダを殺せ #8]
日程:2016年12月9日(金)18:30〜

11月のナノスクールは、先日始まった第4回イドガヤ・ビエンナーレの関連イベントを考えるというものでした。
話し合った結果、12月のナノスクールでは鶏鍋食べながら天照大御神の登場を待つというイベントを行うことになりました。
日本神話に登場する天岩戸神話という話があり、それは簡単に言うと洞窟の中に隠れこんでしまった、天照大御神を外に導くために、洞窟の外で宴会をして大騒ぎをしながらその登場を待つというものです。それをナノスクールで再現してみようということになりました。
今期のナノスクールは「ブッダに会ったらブッダを殺せ」というテーマで自分の中で信じてしまっているもの、当たり前になってしまっていることについて思考してきました。今回のイベントでは、このテーマとどのような関わりがあるのかということも含めて考えていけたらいいなと思っています。
ナノスクールも次が年内最後です。少々突飛ではありますが、今年を振り返りながら、そして天照を待ちながら、鶏鍋を囲みましょう。(宮澤 響)

#46[ブッダに会ったらブッダを殺せ #9]
日程:2017年1月13日(金)18:30〜

#47[ブッダに会ったらブッダを殺せ #10]
日程:2017年2月17日(金)18:30~

2012年11月に始まったナノスクールだが、通常の月イチセッションで行われるのは残すところあと2回。もうすでに発表されているように、3月11日に行われるイベント[出国手続き]で月イチセッションのナノスクールは一度幕を降ろす。なので、ナノスクールに参加されたことのある方はもちろん、ナノスクールに行こうか行くまいか迷っていた方も、ぜひともご参加いただきたい。
前回の課題である。それは「私は○○○の職務を忠実に遂行し全力を尽くして×××を維持、保護、擁護することを厳粛に誓います。」という文章の○○○と×××という部分に参加者それぞれの立場を当てはめて、皆の前で言うというもの。
全員言い終わったところで、この文章とは何かがネタバラシ的に告げられた。これは、アメリカ合衆国大統領就任式で新大統領が行う宣言文なのだという。
“私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う(もしくは確約する)。
”1月20日に大統領に就任式を行ったドナルド・トランプも観衆の前で、また、全米で数百万人が反トランプデモを行っている状況の中で、この宣言をした。
大統領就任式の宣言を自らの立場に当てはめて、宣言するというのには違和感や、抵抗感を感じる方もいるかもしれない。僕は少なくとも感じてしまう。
一番困っているのは僕自身この課題に対して、どうコメントしたらいいのかわからないということだ。もしかしたらコメントする必要はないのかもしれない。やってみて、違和感を手掛かりにそれに反応するということがナノスクールのエクササイズなのだと思う。(宮澤 響)

#48[ブッダに会ったらブッダを殺せ #11]
日程:2017年3月10日(金)18:30~

2012年11月に始まった杉田 敦[ナノスクール]。4年と4ヶ月続いてきたナノスクールも今回が最終回です。まずは、3月10日(金)に月一セッションのナノスクールがあり、その翌日、3月11日(土)に今期の発表があります。
結果的に最終章になってしまった、今期のナノスクール。テーマは「ブッタに会ったらブッタを殺せ」でした。臨床心理学者のシェルドン・コップの『ブッタに会ったらブッタを殺せを』(青土社)参考に、杉田 敦が様々な課題を出してきました。この本のタイトルは、臨済宗の「仏に逢うては仏を殺せ。祖に逢うては祖を殺せ。羅漢に逢うては羅漢を殺せ。父母に逢うては父母を殺せ。親眷に逢うては親眷殺せ。始めて解脱を得ん。」という教えからとったものだという。
つまり、師として仰ぎ信奉しているものを一度投げ捨て、そこから考え始めなければならないということである。信奉しているものは、”ひと”のみならず、国家や制度、資本主義の中で生まれ続ける生産と消費の形、ありとあらゆるものが権威化し、信じるという意識さえないまま、信じているというのが現在の社会のあり方なのかもしれない。
今期はそのような信じているかもしれない何かを探り、それを投げ出す方法を考えてきました。
このテーマになってから1年が経とうとしていますが、しっくりくる答えにたどり着くことはなく、もう少し考え続けなければいけないなと感じます。
杉田 敦によれば4月からは国外で開催するとのことです。そこで最終回のナノスクールは[出国手続き]と題されたイベントになっています。3月10日(金)は[出国手続き]に向けた準備で、3月11日(土)は[出国手続き]です。これまでの実践が無事出国できるかどうか、ナノスクールに関わってきた皆さま、そして気になっていたけどこれなかった皆さま、できるだけ多くの方と検討できればと思います。(宮澤 響)

★ナノスクール第4期最終特別イベント
#49[出国手続き]
日程:2017年3月11日(土)
開場:18:30 開演:19:30
入場料:1,600円(ワンドリンク付)

2012年から開催されてきた nano school、第4期 “ブッダに会ったらブッダを殺せの” も最終回になりました。今期は、あらゆる権威化に抗うための実践を主眼に行ってきましたが、それができたのかどうなのかは、参加者のそれぞれに判断いただくしかありません。しかし、抵抗すること自体が抵抗すべき当のものを生み出してしまうこと、その困難については、各自お考えいただけたのではないかと思います。
さて、nano school は4月から1年間、国外での開催となります。主な開催地はリスボンですが、カッセル、ミュンスター、アテネ、イスタンブール、リヨン、アスコナー、ヴェネチアなどです。情報は引き続き blanClass から発信してもらいます。小林さんの美味しいご飯はありませんが、海外での活動も有料とし、その一部をblanClass に還元できたらと思います。テーマはまだ未定ですが、近々お伝えできると思います。1年間限定の、海外版 nano schoolを宜しくお願いします。(杉田 敦)


〈予約方法〉info@blanclass.comに以下の内容でイベント前日までに送信ください。こちらからの返信を持って予約完了とさせていただきます。なお定員に達した場合などお断りすることもございますので、あらかじめご了承ください。
〈タイトル〉ナノスクール予約〈本文〉1)日にち 2)氏名 3)住所 4)メールアドレス 5)参加人数

※ナノスクールは完全予約制となります。 参加資格は、アート、あるいはそれに関連する分野の専門家、あるいは専門家を目指す人とさせていただきます。


杉田 敦 Atsushi SUGITA
美術批評。オルタナティヴ・スペース art & river bankディレクタ。女子美術大学教授。最近の著書に、『静穏の書』、『ナノ・ソート』(共に彩流社)、『アートで生きる』(美術出版社)、『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房)、『inter-views』(美学出版)がある。作品に”critics coast”(越後妻有アートトリエンナーレ, 2009)など、キュレーションにポルトガルの現代美術展『極小航海時代』(JAM)などがある。また、批評タブロイド紙 “+journal” の編集、アーティストの増本泰斗と、ディスカッション・プロジェクト”Picnic”も行っている。