Event

中村達哉

かかわりをおどるII ボディマップを重ねてみる

2015.11.22—2016.01.31

☆週イチセッション
かかわりをおどるⅡ ボディマップを重ねてみる|中村達哉(日曜日祝日・全12回+発表)

日程:2015年11月22日(日)─1月31日(日)
最終発表:2016年2月7日(日)
時間:15:30~18:30

たとえば道具を使うさいに用途に合わせて姿勢を変えたり、乗り物のスピードに合わせて周囲の空間に注意を拡張したりするとき、私たちは脳内で瞬時にボディマップを作り出します。またボディマップは日常の空間で身体を使う場合のみならず、小説や映画を味わうさいに現れるフィクショナルな身体空間を想定する場合にも作動します。今回はこの自由に伸び縮みするボディマップをめぐり、体験的なワークとリサーチを積み重ねながら創作し、パフォーマンスを上演いたします。
<Work>まずは一連のワークを通して、自分自身の身体と対話していきましょう。具体的には、床に寝そべり、身体の重さを感じることから始めていきます。丁寧に同じ動きを繰り返すことで、視る・聴く・触れるといった、ふだんなにげなく行っている知覚を身体のレベルに引き戻し、身の回りの空間やその場で起こるできごとを内側から感じ、把握していきます。最終的には即興で踊ることを目標にし、同時にその動きが強度を持つためにはどうすればよいか、考えていきます。
<Reserch>リサーチを通して、身体領域に関する報告をみんなで行っていきます。みんなで同じものを観て、パズルのように経験を合わせていくこと。自身のエピソードを作成して語ること。さらに文学・映画・美術作品・料理・スポーツなどといった異なる領域で現れる身体性についてリサーチし、報告をするのもよいでしょう。
<Perform> 最後に両者を重ねて、パフォーマンス作品を上演してみます。
リサーチした要素を自由に連想しながら繋ぎあわせ、「仮設の身体」を構成します。パフォーマンスにおいては、物語から逸脱したノイズを許容するような身体性が、豊かに現れると良いと思います。本作品はTPAM国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2016の参加を予定しています。


#1:2015年11月22日(日)
#2:2015年 11月23日(月・祝)

#3:2015年11月29日(日)オリエンテーション/ブラインドワークの実践

ブラインドワークを2種類やりました。「色をさわる」「モノの形状をつかむ」。どちらも触覚をたよりに色や形を探り当てる(=脳内で視覚イメージを再生させる)実験でした。触った感じから類推したり過去の経験から想像したりと、あるていど論理的に導き出す人もいれば、”渡された瞬間に思い浮かぶ”など、直観的なアプローチをする人もいました。同じモノでも、触っている過程でイメージが変わる(たとえば陶器~巻貝)という報告も興味深かったです。モノによっては「触っている側が影響を及ぼす(=触っているうちに形が変わる)」素材もありました。実際になにが正解だったかを問うよりも、触っている過程で思い浮かべたことのすべてが、そのものの属性、と考える方法もあるかな、と思います(弱測定と類似したとらえ方)。一つ一つの実験のあと、それぞれどんな経験だったか、エピソードを語ってもらいました。(中村達哉)

メモ 1)永井均『独我論』、弱測定(量子力学)、「私という視点点」。〈私〉、〈今・ここ〉という現場をどうやって想定するのか、という哲学的な議論と、物体や粒子の位置の測定に関する問いかけ。

#4:2015年12月6日(日) 「不確かなイメージ」を捉える~ブラインドワークの種類を考えてみる

・遠野物語と震災。116年前に津波で妻を失った男(福二さん)の話が、遠野物語に記されている。それからのち福二さんの玄孫にあたる長尾勝さんが、ふたたび震災で母を失うことになる。長尾さんが今を証言し、あらためて先祖の体験を語りなおすという出来事によって、過去の出来事の意味や内実が変わっていく…というお話し。

・ブラインドワーク「ものをさわる」
①ネタを持ってきてもらい、交換するようにして行う。(乾燥ワカメ・猫のトイレ用?パット・小型スピーカーなど)自分が触ったものがどんなものだったか、描写してもらう。
②モノを変えて行い、アイマスクを外し、二人組をつくる。お互いに相手のさわったものについてエピソードを交換し、今度は相手が触ったものを自分に起こった出来事として描写してもらう。

・出来事を体験したり、交換したりするやりかたはあるだろうか? 次回はちょっとしたエピソードや物語をそれぞれ持ってきてもらい、それを感受するための方法や、伝えるためのやりかたを考えていく。それほど複雑な物語というよりも、まずはシンプルな出来事から実験してみるほうがやりやすいかもしれません。また、身体的なできごと、というのも良いとおもいました。(中村達哉)

メモ 2)観測者が対象に影響を与えてしまうようなできごとについて。”盗み見る”というやり方。薄いスリットを重ね合わせるようにして、観測=描写していくようなやり方。

メモ 3 )証言することについて。体験の渦中にいる段階から時間が経つことで、語り口が変わっていく、という問題。

#5:2015年12月13日(日) 「出来事を交換する」~イメージを共有する方法について考えてみる①

A=エピソードの内容(語り手、伝達する人)。B=翻訳、変換、叙述(聞き手、再現する人)。C=聞き手。D=場所。
〈エピソード1〉 A/ぎゅっと手を握って、離す(中村)。B/椅子と板、クッションで装置化して再現(眞島さん)。C/全員(ひとりひとり体験)。D/室内の広めの場所。
〈エピソード2〉 A/家の鍵を閉めたかどうか、意識しない一連の動作について(眞島さん)。B/空間の任意の点に1~7まで番号を振り、順番に移動してもらう(中村)。C/全員。D/全体の空間。
〈エピソード3〉A/昔住んでいた家(部屋)から射してくる光(武久さん)。B/みんなをその家に招待して、説明する(野本君)。C/全員。D/伝達が行われた場所。
〈エピソード4〉A/家族についての映像作品(野本君)。B/その場で話す。言葉で再現(武久さん)。C/全員。D/その場で。
〈エピソード5〉 A/母の記憶(関さん)。B/ひと塊になって、明かりを消す。その中の一人に”後悔したこと”について話してもらう(宮澤くん)。C/全員。D/部屋の隅、壁際、ストーブの前。
〈エピソード6〉 A/子供のころの家族の記憶(宮澤くん)。B/ひと塊になって、頭から布を被り、話しをする(関さん)。C/全員。D/部屋の隅、壁際、ストーブの前。(中村達哉)

メモ)Aの人がBの人に自分の経験・エピソードを伝え、Dという第三者にそれを伝える方法を考える、という課題。
僕は関さんとペアになり、まず自分のエピソードを伝え、その後、関さんのエピソードを聞きました。
僕も、関さんも家族に関するエピソードでした。関さんのエピソードを伝える際に、話されている状況を再現し、エピソードの中の人物が話していたことを部分的に取り出し、僕ではなく伝えられる側の誰かに話してもらうことにしました。
関さんの話の中で、お母さんが関さんに対して過去に後悔したことを語った、という場面があったので、「これまでで後悔したことを誰か話してもらえませんか」と参加者に話を振りました。
お題をそのシュチュエーションの中に投げて、後はなにもしないという、方法で元々のエピソードがどう転がるかを試してみました。結果を考えてみると、Aの関さんが、Bの僕にエピソードを話し、それをDの人々に伝えるという形ではなくて、Dの人々の経験を新たに作るという方向に向いて行ったのだと思いました。(宮澤 響)

メモ)叙述の仕方、順番?で事実(経験の在り方)が変わる・メディアの上に乗る経験、メディア間の変換・語りから身体へ、そこから場、空間への定着、それから共有、交換、誤訳、失敗、などなど(野本直輝)

#6:2015年12月20日(日)「出来事を交換する」~イメージを共有する方法について考えてみる

〈流れ〉
①2人組をつくり、エピソードを交換する
②相手のエピソードをどう再現するか、考える。
③プレゼンテーション。
(順番を決めず、ひとりひとりタイミングをみて行う。あるエピソードが別のエピソードと隣り合って、全体で一連のストーリーのようなものになるかどうか、実験。)

〈今回やろうとしたこと〉
B/再現のアプローチ方法についてヴァリエーションを確認し、増やしていく。
C/体験する側が何を受け取ったのか、どんな感触やストーリーの断片を喚起したのか。フィードバックに焦点を当てる。
〈内容〉A=元ネタ B=再現したこと C=感想

エピソード1〉A/夜寝ているとき、背中が痒くて起きてしまう。背中を掻くと掻いただけ熱くなる(関くん)。
B/ストーブの前に集まって座ってもらう。ストーブに手を当てて目をつぶり、熱いと思ったら目を開けてもらう。痛みについては分からないので、熱さに近づいていくことで再現してみた(宮澤くん)。
C/感想1 分からないものを手で探らなきゃいけない感じ。たとえば家具の下に手を入れるときなど、自分の手にどういう影響があるか分からない状況。ゴキブリやほこりや得体のしれないものがついてしまう。
感想2 なかなか熱いと感じなかったけれど、目を閉じていながらもみんなが手を引っ込めているのが分かったのでみんなに合わせて手を引っ込めてしまった。
感想3 熱いと感じてすぐに手を引っ込めてしまった。手のなかに熱さの感覚が残っていて、青とか赤のドットみたいな、色の感覚が印象としてあった。
エピソード2〉A/母のこと。自分の母とは言わず、“彼女”のこととして伝えた。自分はそれを見ている人として、共感できず、思考回路が分からない。理解が辿りつかなかった(関さん)。
B/話しをして再現。本人を演じるようにして“彼女”になってみて、さらに「武久がしゃべる」というやり方で再現。たとえば「自分の非を認められず、周りの人のせいにする」という元のエピソードを、以前自分が占いを体験したときのエピソードに置き換える。「私が何か失敗をしたときに、誰かに何かを言われる、という状況」を想定して話してみた(武久さん)。
C/感想1 2人の関係についての話し。とにかく“相容れない感じ”がした。
感想2「揺れやすい、頑固だ」という話を聞いて、ひょっとしたらそれは自分のことを言われているのかもしれない、と思った。 
エピソード3〉A/味がテーマ。コーヒーを飲んでもらいエピソードを語ってもらう。そのエピソードが、味にどう影響するのか。実際にコーヒーを入れながら話しをしてみた。話しの内容は、豆の連想からコスタリカの話し(宮澤くん)。
B/「コーヒーを作りながら話しをしている人」を再現。手際よくコーヒーを入れている一方で、たどたどしく読んでいる(話しをしている)様子を見て、後者をメインにしてみた(関くん)。
C/感想 すごい考えてた。間があった。たどたどしさ。言葉を噛み砕いている様子が伝わってきた。
エピソード4〉A/実家の前のバス通り。運転手の後ろの席に座ろうとして、一段上がって高さを変えたら景色がまわりこんだ経験。
B/道を歩いて、ひとりひとりバスに乗ってもらう。脚立に上って座ってもらい、景色の見え方を再現する。時刻を告げる。夕方バスに乗ること、個々の光りの体験が思い起こされたら良いな、と感じた。バスとは言われていなかった(関さん)。
C/感想1脚立に乗るのをみていて(落ちないか)ハラハラしていた。3時過ぎと言われて実際に自分の時計を巻き戻してみた。オレンジの日差し、「色温度」、光の色を感じた。

エピソード3 のAの宮澤くんのテーマは、語り手として情報が未整理のままだった印象がある。そんな状況を、Bの関くんがそのまま写し取ってくれたため、「たどたどしさ」という印象はかえってよく伝わった。 一方で、伝わりづらさの感覚を通して、語られたことの一部分=「コスタリカー軍隊を持たないー日本での安全保障の議論」という思考の繋がりはある確かさを伴って体験者/Cに伝わったようだった。本当は語り手が無意識に実感していたのはその部分ではないかと思わされ、B/たどたどしさというノイズを通して、隠れた意味(=Aの真意)が救い(掬い)出されたような気がした。
芸能や民間伝承など、長い間語り伝えられてきたものは、“意味を知らなくても機能してしまう”ということがある。おそらくそれは形骸化、とだけは必ずしも言いきれなくて、「事実は違うけれど、感触や機能としては元のものが現れる」(武久さん)ということが実際にあるように思われた。神話の例をあげるまでもなく、ある事象を「語り・伝える」という行為の連鎖に落とし込んでみると、後になって元々の語り手さえ意識していなかった隠れた意味が現れるという局面があるようで、その場合、元ある形式を借りてその時々の具体的な生の表情が映し出される。
今取り組んでいる具体的な演習を通して、背後には「継承」という、もうひとつ大きなテーマについて考えているように思えた。救い(掬い)出される、あるいは誰かの声を借りて/何かの形式に乗って「届く」というイメージでしょうか。(中村達哉)

#7:2015年1月10日(日)中間プレゼンテーション①
#8:2015年1月11日(月・祝) 中間プレゼンテーション

 前回は伝達モデルをいくつか考え、そのなかから「民俗学型」(写真を参照)を採用し、みんなで演習をしました。演習の内容(A)は関くんの提案によるもので、「目が見えないと自称するおばあさんに会った話し」。これを複数の人たちで演劇によって再現(B)。さらに遅れてやってきた眞島さんにこの演劇を見てもらい、そこから想起される状況を全く別の文脈に置き換えて、「再現の再現行為」をしてもらいました。 加えて、ひとりひとりヒアリングを行おうと思い、まずは関さんのお話しを聞いて、関心領域を地図のように作成していきました。(メモ参照。)いつも提案してくれるテーマの背景もよく分かり、また知らない情報や気づかなかったことなども発見することができました。時間が許すかぎり、今後も同じような試みをしていきたいと思います。 添付の写真は伝達モデルの例。先日黒板に書いた上の四つに加えて、関さんの言葉をヒントに、あらたに「井戸端会議」というのを書き加えてみました。「主体」の意識が伝染して誰でもが話し手Aになりえて、だれもが受け手Cになりうるような状況です。 また、野本君が民俗学モデルを下から上に逆にたどるという、新しい提案をしてくれました。これに関連して、次回は「探し物を見つける方法」について具体的にみんなで検証していけたら良いと思います。併せてやりたいことがあれば組み込もうと思いますので、自由にご提案ください。(中村達哉)

以下の写真は、11日にお話した場所です、おばあさんとは会えなかったので引き続き捜索します。一枚目が初詣をした篠原神社、二枚目がドトール、三枚目が話していた道、四枚目が普段おばあさんが座っているとされる下り坂の途中です。(関 智文)

#9:2015年1月17日(日) 中間プレゼンテーション③

なくしものを探す(今回はblanClassのカメラのレンズキャップ)
①レンズキャップ(意識、記憶、etc)をなくす(A)

②なくした本人(A’)がその日の自分の行動について振り返り、いつ、どこで、何を、なくしたのかを説明し、出来るだけその前後の行動も再現してもらう。

③協力者( B〜F)は②の情報を元にして、実際にAがなくした場所でレンズキャップを探す。

やってみて
・別になくしていたレンズキャップが見つかる。
・なくしたレンズキャップの色や形の情報に類するものが見つかる。
・やる気が起きない。
・「レンズキャップを探す」という設定ではなく、「掃除をする」など、目的を別に設定したほうが行動に移せる。
・とにかく掃除をしてみることで、レンズキャップとしての機能はないけれど、確かな「もの」が幾つか出てくる、ハンガー、ピンポン球、画鋲、カセットテープ、何かのプラスチック製の部品、などなど。

「◯◯をなくす」という経験について
そもそも、「◯◯をなくす」ということが当人の中では意識されていないことなので、「なくす」ことは無意識的にしか発生させられません。「なくした」ことに気が付いた瞬間が、「なくした」ことの意識的な状態の始まりで、そこから記憶をさかのぼり、言葉や身振りで、まわりの人に「なくした」体験を語ることで、「自分が◯◯をなくす」という経験を、後追いでかたちづくっていく、と考えました。ところが、「なくした」体験について語る当人が、無意識のうちに起こった出来事について語らなければいけないことになるので、質問が出てくる度に何も確信が持てない状態になり、元の体験がどんどん転換、飛躍し、当人の「◯◯をなくした」経験自体がそもそもイメージ化された抽象的な物語だったのでは?というように感じられ、それはそのまま「◯◯をなくす」という現象そのものにも見えた。(野本直輝)

報告ありがとうございます。なくした人の自己意識や主体性があやふやになる、という結末でしたね。そのあたりが、元の経験=「お姉さんが正月に結婚指輪をなくす」と異なったのだと想像しています。お姉さんの方は「絶対にあるはずで、ないと困る」という、モノと主体の関係にリアリティがあったのでは、と感じます。 ”どのような仕掛けをすれば、受け手(B~F)に新しい経験やイメージを喚起させることができるのか”という点が重要で、この観点から、ふたたび考えてみたいです。(中村達哉)

#10:2015年1月24日(日)中間プレゼンテーション④

2回にわたって、発表を視野に入れたワークをかんがえています。発表の形式と内容をすりあわせながら、みんなで考える時間を持ちたいと思います。15時~行います、よろしくおねがいします。(中村達哉)

自分のマッピングの時に話に出た「不条理さ」や「渦中」のようなことをやってみたいと思い考えてみたのですが、いかがでしょうか。・目的→どう渦中にするか→不条理な渦中を意識させる・思いついたことブランクラスの下の入り口付近に立っている私が来た人に「もうはじまっていますので、これ受付に渡して下さい。どうぞ」と言い遅延証明書(画像)を渡す。来た人は今度受付で遅延証明書を受付の人に渡す。渡したらその場の全員から拍手される。(始まる前に終わる)・検討中※遅延証明書とは何か?※遅延証明書をどう使うか?※遅延証明書(不条理な出来事の免罪符)を遅刻した人がもっている?※遅延証明書がミカンとかのがいいのか?正直、思いついたのが雪の日だったので、それにだいぶ引っ張られている部分があると思います。一緒に添えた動画は動画の中のおじさんのような感じになれたら…と思った考えたきっかけです。(関 園子)

先週、お茶を出すという話をしましたが、今行っているワークの最初のほうに僕がやった「自分の思い出せる最初のイメージを伝える」ということを手掛かりに少し考えてみようと思います。放送室でやった、絵画を見てそれを伝えるというのは、すでに共有されているイメージを共有されていないものとして、それを断片的に語るというものだと捉えました。
それが例えば、誰かの頭の中にしかないイメージだったとすると、それは言葉で共有できるようでいて、一方で、聞いた人の中での経験に置き換わってしまったり、誤解みたいなものを抱えた中で、伝えられた側があるイメージを想起するのだと思います。僕が語った内容は
「自分が3歳くらいの時。朝起きると、カーテンがかすかに透けていて両親がシルエットになって見えた。鳥の声が聞こえて、両親の話し声が聞こえる。春くらいの気候で、ちょうどよく暖かく、とても気持ちの良い朝だった。」
家族の出来事などは省略していますが、こんな感じです。このエピソードを関さんは、視覚と温度、言葉、などで表現してくれました。
先ほど語った風景(イメージ)は20年くらいの月日の中で所々修飾されたり、または取り除かれているのかもしれません。それを語って、共有していくことで、それがまた繰り返されていく。それを、コントロールするのではなく、転がっていくそれぞれのエピソードを見る方法をいま考えています。(宮澤 響)

前回の坂道の立ち位置確認です、投稿までに時間空いて申し訳ないです。一枚目上からのイメージ、二枚目実際にやってみた。(関 智文)

#11:2015年 1月31日(日)中間プレゼンテーション⑤

それぞれ「テーマとやり方」をヒアリングしていき、場所を決めるところまで行けたらよいな、と思います。

どのアイデアも刺激的で、多くの問題提起をはらんでいると感じました。それらの問題にひたすら感心してしまう気持ちに抗いながら、一方で、どこに問題の焦点を合わせ、どういう問いかけ方をすれば他者に経験を開くことができるか、について執拗に議論してみました。これまでやってきたB変換、代弁者を立てるというのもその仕掛けのひとつでしたが、いずれにしても、Cのお客さんが、与えられた体験を「みずからのこととして話したくなる」ためにはどうするか、経験の引き継ぎ方というのが大切だと思いました。
みなさんから出てきたテーマは「視覚的な経験」「記憶のなかの出来事」「物質感」など、それぞれ受け止めるチャンネルがばらばらな経験も、ばらばらなままに提示してみて、最終的にはお客さんの側も、提示する私たちの側にも、感覚の揺れやマッピングの線の引き直しが引き起こせたらいいなと感じております。
・手がかりとしては、フィードバックシートを用意して空間に残しておくというところまで議論が進みました。一つ一つの出来事を経験する順番によっても、経験する内容はかなり変わるのではないか、と思いました。
・参考までに、昨日決まったA語り手とB変換者をあげておきます。
A関さん→B本人か、誰か別の人
A宮澤くん→B本人
A武久さん→B宮澤くん
A野本くん→B武久さん
A飯島さん→B/C全員で
A関くん→B劇のメンバー
A宮澤くん~A武久さん(B宮澤くん)~A野本くん(B武久さん)という流れを組むと、AとBの役割の受け渡しもスムーズで、お客さんの導線も決まるかもしれないと感じました。
・昨日決まったこと、プレゼンテーションのやり方などをそれぞれ投稿していただけるとありがたいです。(宮澤くん、飯島さんにはプランにおいてリクエストを出しました。)それをもとにもう一度やり取りをして、土曜日の設置に臨みたいと思います。(中村達哉)

最終的に構成される予測イメージについて。
絶対的な他者、という言葉は喚起的ですね。僕らのセッションは全員が「巻き込まれている」状況を作りますが、最後に「他者」の姿が垣間見えることを期待しています。黙っていようとも思ったのですが、関くんの「おばあさん」が登場し、眞島さんの「テレビさん」のまれびとのまなざしが到来したことで、エピローグは劇にしよう、という確信ができました。 
それ以前に語られるそれぞれの「できごと」の背後には、どうやらこの大きな「他者」のまなざしが潜んでいて、お客さんは他者のまなざしを内部から経験することになるような気がしていて、それゆえにフィードバックシートは貴重な証言となる気がします。ほんとうに渦中にいる人だけが、「絶対的な他者」の姿を見て、まなざしの通路をつくることができるのではないか、というのが私なりの仮定です。(中村達哉)

「インスタレーション」blanClassの部屋にこの試みがインストールされるということ以上に、ここに訪れる、私たちを含めた人へ、2/7のこの部屋の形がインストールされると捉える。(武久絵里)

「まだ共有できていない写真について(仮)」
富士フイルムの「写ルンです」を2台用意し、1台は僕があらかじめblanClassの”どこか”を撮影したものを置いておく。もう1台は未撮影のものを置いておいて、お客さんにとってもらう。僕がblanClassを撮影する際に、体の姿勢(他の要素はもう少し考えます。)をメモしておき、それをカットごとに表にする。これがお客さんへの指示?伝達?になります。お客さんには僕の表を手掛かりにblanClassをウロウロしながら写真を撮っていくことになります。もう一台の方のカメラのところには、何をどういう姿勢で撮ったのかを書ける表を用意しておきます。あと、blanClassの平面図を用意しそこにお客さんが撮った場所にピンを刺してもらいます。この表と平面図が、お客さん一人一人のイメージを表に出すメディアになります。
だいたいやろうと思っていることはこんな感じです。土曜までに、プランの中で要素を足したり、引いたりするかもしれません。僕が今回探りたいのは、写真を撮るその瞬間、もしくは撮影をするという一連の動きの中で撮影者が想起するイメージとは何かということです。それを、フィルムに定着された画像に見るのではなく、その手前の状態を抜き出して考えてみたいと思いました。表の要素についてはギリギリまで、考えてみたいと思います。お客さんへのタスクの出し方と、その結果の出させ方が大事だと思っています。(宮澤 響)

「手放しのものさし」
A=武久 B=宮澤くん
Aのエピソード:仕事中、屋外を歩いていて、ふと遠くの電線を見た時、工事作業員の身体が、私が想定しているスケールより大きく見えて、立ち止まってしまった。(目の中にあったものさしが内側から広げられてしまう。対象が浮き立ち、その前に立つことに快感を覚える、彫刻的な体験。ボディマップを補正することで、ここにいることが鮮やかになる。)
AからBへの伝達方法(セッション内で実施済み):blanClassの窓から見える、家を3軒はさんだ先にある電線を、みんなで眺める。そこに作業員がいると想像する。その作業員の身体の大きさを、指で測る。Aの声かけ「実際は、それより5mm大きかったんです」
BからCへ:宮澤くんを指名したのは「嘘だあー」という反応がよかったから。その生の感じを大切にしたい。伝え方は宮澤くんに基本的にはお任せ、相談。窓の前まで行くまでの導線は、会場全体の構成含めて考える。「立ち止まる」がCに起こるように誘導したい。
Cから○へ:宮澤くんの手を離れて、C→D→E→・・・となったりしないかなあ、、学校で変な遊びが流行るみたいに。視点が膨らむこと、立ち止まることへの快感が伝播するといい。(武久絵里)

Cの語りメモ用の紙を選びに行ってきました。無印の文庫本ノートをばらして使いたいと思うのですが、いかがでしょう。
30冊分くらいを何カ所かに分けて積んでおいたら、書かれるのを待っている感が出るんじゃないかと思います。5000円くらいかかっちゃいますが。ネットだともっと安く買えそうなのですが、配送が間に合わなそう。コピー用紙でもだいたい同じだと思います。
鉛筆で書いてもらうのを想定していましたが、いろんな描画材を置いておいて、言葉になっていないもやもやを絵や図で描き留めてもらってもいいのかも。(武久絵里)

AからBに探りながら伝えている今日の様子です。

① 私=眞島が(かなり)昔に描いた絵を一つ選び、Aとして提示する。加えて、(Aそのものについてではなく)今回の試み全体についての抽象的なキーワードA’も示す。
② 参加メンバーたちにAとA’を事前に見てもらい、それがなぜ描かれたかを推測してもらう。その上で、それを文章Bにまとめてもらう。見た目の説明、描いた際の考え・コンセプト・心情など、どのようなものでも構わない。
③ Bを観客たちに示し、自由に意見を述べてもらう(AとA’は示公開)。参加メンバーは、それを取り込んだ上で文章B’にまとめ直す。
④ B’に示された内容を十全に反映する絵Cを、眞島、参加メンバー、観客の各々が描く(眞島以外は希望者のみでよい)。その際、各々が自由に/主体的に創作するのではなく、あくまでもB’に示された内容を前提に、それに適合するような創作主体を想像して/なりきってCを作成する。(眞島竜男)

今までのセッションでの自分のメモを振り返っておりました。こちら、明日投稿します。また当日の発表ですが、私はセッションでお話させて頂いていた「遅延のもの」はA-A’-Cの形で、私が行います。(可能であれば少し皆様のお手をお借りするかもしれません。)また、もう一つの時間内に行う「母の話」はA-B-Cの形で、Aが私でBの発表者を関弟に頼もうと考えております。全体に発表内容を整理して明日こちらも投稿できればと思います。(関 園子)

以下、12/6〜1/31の自分のセッションメモです。私のメモで字が汚いですが、2/7は今までのセッションの積み重ねの発表という感じが個人的にするので投稿します。(関 園子)

「世間話」
A=関弟 B(A’)=関弟
Aの伝えたいこと劇のエピソードの中のおばあさんと祖母のようなあまり面識のない者同士の特に目的のない会話、だけれどどちらかが手持ち無沙汰になるわけでもなくお互い楽しそうに話している。この日常でボディーマップを広げる何気無い行為を再現出来ないだろうか。
AからBへの指示
C(お客さん)にA(話者)として世間話をしてもらう、C(お客さん)が快く話せるような場作りをする。自然な会話の流れを心がける、無理に引き止めたり割って入ったりはしない。
B(A’)の変換
今回は関さんの「母の話」のB、変換者を任されたので談話室で主にタロット占いをしたいと思っています。その占いの後にお茶などを出してお客さんとお話しをする予定です。(関 智文)

「階段を登って降りる体内のどこかで再生を待っている」
まずAの僕が、前回のセッションで試していたようなプロジェクションとテキスト資料とを使用した制作風景を、パフォーマンス的に行おうと思っています。17時よりちょっと前からやっているつもりです。Bの語りの人物は、前回セッションの時点では武久さんにお願いしようかなと思っていましたが、それ以外のセッション参加者でも、お客さんでも、誰でも大丈夫なようにできないか考えています。いきなり拡散型?
なるべくいろんな人に伝宣していくことを望んでいるので、僕自身がBやCの立場になってしまうくらいぐるぐるできたらいいと思っています。
語りの人物を拡散するためにどんな方法があるのか考えたのですが、紙に言葉や絵で残してもらうということと、お客さんに自分のスマートフォンなどのムービー機能を使ってもらって、新たな語りを動画として残してもらうということもやれないかなと思いました。それをやるともしかしたらその場での言語化からはちょっと遠ざかってしまうかもしれませんが、僕的には動画を残すというかたちも、十分にその場の出来事を語る方法になり得ると考えています。もちろんその動画を素材にして新たな言葉を引き出すということが、当日の時間内に出来れば尚よしで、そういう伝宣が起きればいいなと考えています。
自らの経験と他者の語りだったり、過去の出来事と今現在の出来事だったり、それらが同時に自分の中に動いているのを見つけたときに起きている、そういう出来事が目の前にあるという感覚が、僕の言っている映像的な経験です。
セッションで語りの類型をいくつかやる中でも、他者の中で語りが芽生えるのはその人の中にあるいくつかの経験が同時に動いて、それぞれが重なり合うのを自覚するときなのかなと考えることがありました。失くしものをした他者の経験を、周りの自分たちが後追いでかたちづくることだったり、それぞれの参加者の語りを経験して、別の人物に伝えることがどんな方法であれ、伝えられた事実をどのようにして伝え渡すかを考えるときには、情報を後追いで整理してその都度伝達の方法をかたちづくることをしてきたと思うので、そのとき伝えようとする人の中では自らの原体験と他者からの語りによる経験が複雑に重なっているような感触がありました。そこで、「いろいろな経験が重なり、同時にそれらが動いている状態を自覚すること」を、仮に「再生」という言葉にしてみたらなんかいろいろとすっきりしました。(野本直輝)

Bは武久でなくてもいいけれど、一人に絞った方が明快になると思います。お姉さんの結婚式用の映像を見て、それを語らなければならなくなったときに、語り手としての自分の立場をどう設定するか悩んだのがよかった。それはあの映像に既に複数の立場がふくまれていたから。しかもその映像の中の野本くんも立場に悩んでいたから。複数の立場を含む、ということを明日の現場で発生させたいということだと思うんだけれど、あらかじめ用意する映像の中に既に含まれているのがいいかも。(武久絵里)

エピローグの演劇の登場人物のセリフと特徴をあげていきます。
おばあさん
紫のニット帽、真ピンクのストール、薄紫のセーター、灰色のパンツ、つっかけのサンダル
ちゃんと相槌を打ち瞬きもする、ケラケラと笑いながら話す。
「そうなんですか、私目が見えないもので分からないんですのよ。」
「ゼロ、全く見えないの(二枚目の画像を参照)」
「今年で79歳になります、こうなってからもー18年。」
「あのね、足をちゃんと上げてれば大丈夫なのよ、私こうなってから転んだことないもの」
「下まで行ってね、お弁当取りにいくの」
「これね手編みなのよ、めくらの会ってのがあってね、そこで習ったの。」
「奥様はどちらへ?」
「これ本当に見えてないのよ、デイサービスの人にだって聞かれるから困っちゃうの。でも本当に見えないの。」
祖母
「それじゃそろそろ行きましょ」
「今日はお出掛けですか?良い天気ですものねー」
「え!?見えない!視力いくつ?」
「それで転んだりしないの?」
「この後はどこにお越しなんですか?」
「今日はね孫と初詣に」
「すてきなお召し物ねそれ」
「本当に見えてないの?」
「嘘つきババアよ」
自分
「へえー」
「え!?」
「あっ車が…」
「すごい人だったね、本当に見えてないのかな?相槌とかちゃんとしてたし」(関 智文)

プラン1「はじまってますよ|we started」※(題は無くてもよい)
A=関姉 B=関姉
Aのエピソード
目的地に行く途中、雪で電車が遅れており携帯の乗り換え案内で夢中で検索しいた。その時私は目的地にいくことばかりに夢中になっていた。もう遅刻だとわかり諦めたとき、窓をみたら雪が見え電車の中を見回してみたら、そこはいつもと違う車内だった。意識しなくても身体の移動になんらかの物語が付随するのではないか?
AからB(私から私)
TPAM前に(始まる前に終わっている物語)
私が遅延証明書を下の入り口で「こんにちは、はじまってますよ。どうぞ、受付で~」と言って渡す。お客さんにはチケットを買う時に遅延証明書を受付で渡してもらう。会場に入ってきた時(入る直前?)に拍手の音が聞こえるようにする。
プラン2「motner」
A=関姉 B=関弟
Aエピソード
母が占い好きで自らしてくれたり、占いに連れて行かれたり…母と私の関係の中に占いはずっと一緒にあったような気がする。理不尽や根拠に乏しいことを言われても特に母がいうことは信じて行ってきた。未だに否定しながらも雑誌などの占いでさえ信じている自分がいる。そういう時、占いでいわれたことを上手く自分に当てはめたり、自分の中にそれを探したりしている
A関姉からB関弟
母を知っているけど、さほど占いには付き合ってはいなかった弟に占いをしてもらう。
伝えたこと
「占いでいわれたことが当たっている感じがする」という時、Aが占い師ならBの占われた人が自分の心中で占いの結果に関連することを探したり、推測したりすること自体がどこかC的な行為ではないかと思う。なのでBにできる範囲で占いをしてもらう。(Bと相談)今回のような場で紙に書いたり、何かフィードバックを求められた時、果たしてどうなるか?また占いに純粋に来ていない人が占われた時どのように感じ反応するのだろうか?またそれについて誰かにどう話すのか?
A→B→C→A
Aのイメージとしてはこんな感じ場やイベントを間借りする。寄生するようなイメージ。あくまでAのイメージ。(関 園子)

2016年2月6日(土)17:00〜 本番前日

2/6今日の関メモです。(関 園子)

最終発表:2016年2月7日(日)17:00〜
★TPAMショーケース2016参加作品 ☆週イチセッション発表
週イチ中村達哉セッション[ボディマップを重ねる]

参加作家:飯島剛哉/関 園子/関 智文/武久絵里/野本直輝/眞島竜男/宮澤 響ほか


【追加募集と料金の変更】
週イチセッション|中村達哉「かかわりをおどるII ボディマップを重ねてみる」に1回だけの参加できるようにしました。それに伴い、料金も以下のように見直しました。

本番への参加も目標ですが、ワークショップだけ、1回だけの参加でも大歓迎です。
申し込み締切は基本的には初日の11月22日(日)です。初日当日は受付にて対応しますので、メールなどでお問い合わせください。また受講方法を変更したので、始まってからの申し込みも受け付けます。不明な点はお気軽にメールでお問い合わせください。
募集終了しました。
※本番前の数日間、リハーサル使用も可能(応相談)

定員:20名
申込金:4,000円(blanClass主催のワークショップに初めて参加される方のみ)
受講料(1回につき):一般:3,000円(5回目からは 2,500円/9回目からは 2,000円)/学生:2,000円

発表に参加する場合は+3,500円

対象:身体を使って表現することに興味がある方、または作品創作の現場を体験したい方
(経験は問いません)。

締切:基本的には初日の11月22日(日)ですが、受講方法を変更したので、始まってからの申し込みも受け付けます。
また初日以降は受付でも対応しますが、その前に必ずメールでお問い合わせください。

申込み方法:講座の要項を了承の上、blanClass 公式ホームページの応募用紙をダウンロード、必要事項(参加する日程も含む)を記入の上blanClassまで送信し、指定の銀行口座宛に、全額か申込金のみを振込んでください。(メールのみ、申込書のみでの予約は受付できません。必ずどちらかをご入金ください)入金が確認でき次第、手続き完了となります。申込金のみを選択した方の場合、講座1回目までには授業料をお支払いください。なお定員になり次第、受付を終了させていただきます。入金後、セッション開講前にキャンセルされる場合、申込金は返却いたしかねますので、あらかじめご了承ください。

銀行口座 三井住友銀行 横浜駅前支店 (普通)8895910 blanClass(ご自分のお名前
を忘れずに入れてください)

問合せ・申込み blanClass〒232-0006 横浜市南区南太田4-12-16-2F 
info@blanclass.com https://blanclass.com

銀行口座:三井住友銀行 横浜駅前支店 (普通)8895910 ブランクラス
(ご自分のお名前を忘れずに入れてください)

申込書ダウンロード(PDF版)


中村達哉 Tatsuya NAKAMURA(ダンサー・振付家)
1998年より現在まで、ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」に参加。パフォーマンスシアター「水と油」の作品や、山下残の作品などに出演。またミュージシャンのPV出演や、美術家とのコラボレーションも多数行っている。2010年、2011年STスポット主催「ヨコラボ」集団創作コースリーダー/オブザーバーを担当。2013年自作のソロ作品として「そこから眺める」を発表。

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