art & river bank 「depositors meeting #12」に、今年もポートフォリオを出展する。これが6回目。今年も昨年同様セレクターとして棚がもらえたので、blanClass friendsから何組かのファイルが一緒に並ぶ予定。昨年の反省もあって1年間にblanClassに出演したアーティストみんなに声をかけた。

 今年は裏テーマがあって、それは「土曜日のゲストにできるだけ初登場のアーティストを呼ぶ」ことだった。というのが誰だったかというと、鷲尾蓉子、窪田久美子、二十二会(渡辺美帆子、遠藤麻衣)、津田道子、小沢裕子、寒川晶子、地主麻衣子、太湯雅晴、岸井大輔、千葉正也、前沢知子、高川和也、Bricola Q(藤原ちから、落雅季子ほか)、SPACE OPERA(三野舞果、藤川琢史、小山友也)、荒木悠、大川原脩平、早川祐太×高石 晃、小山陽子、鎌田友介、関真奈美、松田修、山田崇、原田賢幸、平倉圭、高橋耕平の25組がblanClass初出演か、もしくはソロイベントが始めてという方々。今年はLive Artは全部で41イベントだったので、半分以上のイベントが初登場ゲストによるイベントになった。

 これだけ初のソロイベントが増えたのには、もう一つそれを底上げした出来事がある。というのは昨年の新年企画に引き続き、The Academy of Alter-Globalization+森田浩彰Vol.3[新年度プレゼン大会]を3月29日に行ったのだが、結果的に11エントリー中8組がblanClassで実行することになった。最後まで、ルールを明確にしなかったがために、積極的には絞り込まない仕掛けになってしまったわけだ。というわけで、8組のプランをスケジュールに組み込まなければならなくなり、全部をソロイベントにすると、おかしなことになってしまうので、ソロで発表してもらった4組(吉田和貴、大川原脩平、小山陽子、高橋耕平)のほかに、話し合いによりコンピレーションで4組(関園子とサブ、武久絵里、増本泰斗、村田紗樹)まとめて発表して頂くことにしてなんとか収めた。

 もう一人だけ、奥村雄樹の二度目の出演において、シュウゾウ・アヅチ・ガリバーがゲスト出演したことも特記しておく。

 今年初の試みだったのは昨年10月から3ヶ月間行っていた中村達哉ダンス・ワークショップ「かかわりをおどる」の発表をしたこと。これは3ヶ月間という期間も発表も含めて中村達哉と話し合って考えた企画なのだが、非常に丁寧な個別な対話を積み重ねて形にしていった。相互に交わされたのが言葉だけでなくそれぞれの身体のボキャブラリーが前提になっていたのが面白く、ダンス以外のワークショップでも同様の試みができないか、現在思案中。

 3月には昨年トラブルで出し損ねていた2011年に新・港村で多田正美を中心に行った「西浦の田楽」というパフォーマンスのDVDを発行し、やり直しの発行記念パーティーを行った。

 今年は外部の組織との共同企画などはほとんどなかった年なのだが唯一、吉田和貴企画のイベントとして11月23日に長野県塩尻市に出張した。これは少しややこしいが、「しおじりまちの教室」という地方活性のプログラムの一枠を吉田氏がコーディネートすることになり、ゲストとしてblanClassが呼ばれたのだが、このプログラムを塩尻で行おうとした仕掛け人の「nanoda」というオルタナティブスペースの山田崇をゲストにが逆指名したというループ状態になっている。

 土曜日以外の時間で行っている月イチ・セッションでは、眞島竜男レクチャーシリーズ「どうして、そんなにも、ナショナルなのか?」全12回が2月に終った。これはレポートにまとめたいと思っているが、なかなか作業が進んでいない。9月からは岸井大輔「アジアで上演する」が全12回の予定で始まった。これは4回のトークセッションから始まって、上演の形態に展開していくセッション。杉田敦のナノスクールは始まってから2年経って、「イドガヤビエンナーレ」という展覧会も開催した。この展覧会はビエンナーレにもかかわらず、会期が3年に延長され現在も開催中。CAMPは4月から始まった7人の画家たち(今井俊介、佐々木健、五月女哲平、立花博司、大槻英世、荻野僚介、末永史尚)が持ち回りで企画していくという「えをかくこと」というトークセッションのシリーズが12月にいったん完結した。これはトークセッションというよりも、それぞれの作家の制作の動機に遡ったパフォーマティブな企画が際立っていたかもしれない。

 さて個人的には今年の一番大きなトピックは10月をもって、blanClassが5周年を迎えたこと。5年ごときで大騒ぎするわけでもないが、blanClassを始めるときに、とりあえず何年やったら、人々に認識してもらえるかをボンヤリ考えたときに設定したのが5年だった。実際にどの程度人々に認識されたかわからないし、社会化には程遠い状態ではあるのだろうが、それでも5年間でやろうとしていたことは一段落した気がする。もちろんまだまだこれからもこれまで通り、土曜日のイベントは毎週やっていこうと思っているのけれど、本心からやっとスタート地点に立った感慨がある。

 一息ついたところで、現在これからのblanClassの5年間を考え始めている。blanClassには、スペース、アーカイブという大きく2つの場でできることをクロープンに模索してきた。それは実際の場所とインターネット上のサイトの間でできることという意味でもあるのだが、それぞれにできることを、これからどちらの方向に拡張していけるかということが課題だろう。来年あたりから、それぞれの場、それぞれ一つずつぐらい拡張事業を試してみようと思っている。

 年内に計画していて間に合わなかった企画があって、それは5周年を記念した本の出版。5年分のアーカイブを眺めながら眞島竜男と一緒に対談をした。5周年記念イベントに間に合わせたかったのだが、その作業の多さを前に、客観的な視野を失って、現在まだ格闘中なのだ。なんとか来年の頭には出版したい。

 5周年記念パーティーでの増本泰斗が提案したモバイルキッチンをめぐるパフォーマティブな試みや隔月で行っている土曜CAMPの「ホテルCAMP」内でのサプライズパーティー、これまでにないアニバーサリーな反応に、あらためてblanClassのフレンド的なアーティストの存在を実感した。彼ら彼女らと、それぞれ個別な実験と実践が始まったら、行き先のしれない面白い事態がまた起こるだろうと想像している。

小林晴夫(blanClassディレクター・アーティスト)


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