★特別セッション
アートを共に語る会笠原恵実子 アートでナイト#6[Absent Statue|不在の彫像]

 
昨年夏にアメリカバージニア州の小さな町シャーロッツビルで、KKKやネオナチ支持者とそれに反対する市民グループが激しく衝突する事件がありました。白人至上主義男性が車で市民グループに突っ込み、女性一人が死亡、35人が負傷するという事態となり、SNSを通じて瞬時にそのイメージが拡散されました。

KKKやネオナチ支持者らがシャーロッツビルで大規模集会を行っていたのは、市内公園にある南北戦争時の南軍司令官リー将軍像の撤去を市議会が決定したことに起因します。南北戦争とは奴隷労働に支えられたプランテーション経済の南部連合と、工業化によって新たな労働力を求めた北部連合によって争われた内戦であり、近代化に伴う産業形態や貿易制度の変化が大きな争点でありました。KKKやネオナチなどの極右団体は、黒人奴隷制度維持を主張した当時の南軍を白人至上主義と重ね合わせ、旧南軍旗を集会で用いています。彼らにとってシャーロッツビルのリー将軍像撤去は、白人至上主義のために戦った英雄像の撤去を意味したわけです。そういった解釈に対して、リー将軍同様南部連合であったジャクソン将軍の子孫が、バージニア州議会議事堂にあるジャクソン将軍像撤去を自ら求め、シャーロッツビルでの白人至上主義者の集会を踏まえ「南部連合の像が存在することによって、人種差別主義者に主張の拠り所を与えてしまうと分かった」と述べました。この公開書簡もツイッターで瞬時に拡散し、Monuments Must Goいうフレーズが生まれトレンド入りを果たしました。

全米各地にはシャーロッツビル以外にも南部連合に捧げられた像が何百と存在しますが、この事件をきっかけに、それらの彫像は大きな注目を浴びることとなりました。いくつもの地方自治体が彫像の撤去を決定し、また左翼グループが暴力的に彫像を排除する、ノースキャロライナ州ダラムの様なケースも起きています。人々が今まで止まって眺めることさえしなかった古びた彫刻の、その意味や歴史的背景、象徴性について考えることなったこれら一連の現象を、私はとても興味深く思っています。たくさんの意味不明な彫像がある日本においても考えるきっかけになればと思います。

私は10月末からノースキャロライナ州ダラムに行き、実際に彫像撤去に関わったアクティビストたちと話をする機会を持ちます。今回のアートでナイトではそれらの報告も兼ねて、みなさんと「Absent Statue|不在の彫像」について意見を交わしたいと考えています。

 
日程:2018年11月30日(金)19:30〜21:30
入場料:1,500円(ドリンク別)/学生:800円
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

アクセス:京浜急行「井土ヶ谷」駅の改札出て正面の信号わたりすぐを左折、一つ目の交差点を右折、二つ目の角を左折、三井のリパーク後ろ、blanClass看板がある細い段々を上がって右の建物2階

 
笠原 恵実子 Emiko Kasahara
アーティスト。初期は身体を通じて女性と社会との関係性を考察する彫刻作品を制作。近年は性別や宗教、国籍や言語など社会を規定する制度とその状況についてフィールドリサーチを実施し、その記録を元に制度の曖昧性を示唆する作品を多岐に渡る手法で制作している。主な展示に、PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015、ヨコハマトリエンナーレ2014、『キュレトリアル・スタディズ04笠原恵実子−inside/outside新収蔵作品を中心に』(京都国立近代美術館、2010)、シドニー・ビエンナーレ(2004)、光州ビエンナーレ(2001)など。


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