昨年はとうとうポートフォリオをつくれなかった。でもポートフォリオに寄せるつ持ちで文章だけは書いたので、やはり今年もポートフォリオに寄せるつもりで、この1年を振り返ってみようと思う。

今年も昨年同様、新年は「ヤミ市」イベントからスタートした。企画は吉田和貴&cat’s heaven…! 。焼土と化した場所から湧いて上がるように立ち上がったヤミ市のイメージに「自由」というたくましさを重ねたイベント。アート的な大喜利の場ではなく、文字通りのフリーマーケット。テキトーなものを並べても、ちゃんと売り買いが生まれていくのが面白い。

一昨年から継続していた、野本直輝企画の「シリーズ〇〇のかたちを探す」、1月のゲストは、黒坂祐「やめることでおきる」。3月に行った尾崎藍「はなす方法をかえてみる」で一旦完結、4月からは野本企画による新シリーズ、SakSakが始まった。「誰かが発する表現を手掛かりに、その先を一緒に考えながら、その思考を交換することができる場の可能性を模索します。そのために取り敢えず、粗くてもろい、隙間だらけの場を想像してみる。」とは、野本によるシリーズの説明文。最初のシリーズ「〇〇を探す」は。この「〇〇」に、作家が抱える問題や概念を当てはまて考えていくイベントだったが、「SakSak」は「〇〇」のように同じ響きが連なって、そこにとどまるわけでもなくサクサクと進んでいくイメージなのかもしれない。これまでのゲストとお題は4月が小山友也「交換や拾得」5月が加藤果琳「動く二枚の板に挟まれたビー玉のような出来事について2」、6月がメランカオリ「星々を震撼させるものたちの語らい」、7月が田村香織「いれものについて」、9月が吉田裕亮「ルドヴィコ療法的診断〈カルテをとる〉」、10月が奥 誠之「ドゥーワップに悲しみをみる / 答えて!イエス or ノー」、11月が渡辺志桜里「mass」、12月が村田紗樹「名で触る」となっている。

2月には1年振りとなるTPAM(国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2018)にフリンジ参加をした。blanClassの自主公演「blanClass Anthology #3」として、高山玲子「ゴーストライター」、Whales + けのび「予兆 名絵画探偵 3」、前後(高嶋晋一+No Collective+神村恵) 「Post Future Perfect(未来完了以後)」という、blanClassを実験場として、思考と試行を展開している3組のアーティストをお呼びした。TPAMに参加するということは、海外からもお客さんが来場するので、本番でもそれぞれ英語の対訳に苦戦したが、初めて英語版でblanClassの紹介用リーフレットもつくった。

今年の通常Live Artのラインナップは、藤井 光+安岐理加、水田紗弥子、末永史尚、中川周、柳生二千翔、始末をかくレプレゼンテーションズ(皆藤将、カゲヤマ気象台、岸井大輔、小宮麻吏奈、武久絵里、渡並 航、松田るみ、村田紗樹、遠藤みなみ、鈴木千尋、辻村優子、橋本匠、山内健司、山田カイル)、良知暁、中村達哉、平田守、鈴木悠子、長屋涼香、武藤大祐、たくみちゃん、奥村友規や近藤拓丸、高山玲子、KOTOBUKI meeting+CAMP、坂本悠、藤原ちから+住吉山実里、岩田浩、関川航平、沼下桂子(阿部大介、迫鉄平)、荒木悠、L PACK.(小田桐奨、中嶋哲矢)+西野正将+森田浩彰、ヤング荘(津山勇、安野洋祐、北風総貴)。今年はblanClassで始まった「始末をかく」がほぼ最終の上演(実際にはもう一回都内で上演をした)、L PACK.が3年振り、ヤング荘が8年振りと、久しぶりの出演が目立った。また末永史尚、中川周、武藤大祐など、若手だけではない初登場のアーティストもいて、それぞれに意欲的な実験をしてくれた。

昨年に1度ステューデントアートマラソンを解体して、1日に3組ぐらいのイベントを何回か連鎖して、などと考えたこともあったのだが、CSLABの小山友也くんに、blanClassのステューデントイベントで始まった交流は手堅いという指摘を受けて、継続して募集することにした。今回は7組のステューデンツが参加。蓋を開けてみると、思った以上に、一つ一つの試みが面白くてびっくりした。

月イチセッションは、昨年4月から1年間お休みしていた杉田敦ナノスクールが4月に第5期として再開した。また昨年2月から継続していたcomos-tv(藤井光、粟田大輔、水田紗弥子、井上文雄、青山真也、原田晋ほか)は公開配信イベントをお休みして、代わりに1月~4月までが「公開ミーティング」、5月~12月が「studies」というシリーズを展開した。残念ながらcomos-tvのblanClassでのイベントは12月が最終となった。

今年は週イチセッションは開催しなかったが、昨年行った、沖啓介「ARTCOG (Artistic Cognification)プロジェクト|空想科学Science Fictionと科学現実Science Factで越境する未来」の参加者による発表会を1月に「電子書籍’artCOG’発行記念イベント」として行った。

昨年から不定期に開催している特別セッションでは、藤原ちから(BricolaQ)港の探偵団が横浜を離れ東京に挑むためにblanClassで「東京を遊んでみる」というイベントを2回行ったのち、実際に東京でイベントを行った(この東京でのイベントにはblanClassは直接関わっていない)。笠原恵実子+中村寛で進めてきたシリーズが「覇権主義と美学ーインディアン同化政策とアメリカ現代美術」というオープンディスカッションを2回、笠原恵実子アートでナイトが7月に「After Richard Serra」、11月に「Absent Statue|不在の彫像」の2回セッションを行った。

特別セッションという枠にも入れず、ほぼ隔月ペースで日曜の午後にのんびりと開催してきたASSEMBLIES(後藤桜子/吉田和貴/村上滋郎 ほか)は、回数を重ねるごとに、少しずつではあるけれど変化してきて、いろいろな人たちが、日頃、いろいろと考えを巡らせている中で、ふと組み上がってしまった、一塊のアイデアを持ち寄って、ゆるゆると、でもそれだけに濃密な対話の場になってきた。それが、年末のスペシャルイベントにつながり、プレゼンター8名の発表とディスカッションのイベントだったはずが、さらなる飛び込みプレゼンターが続々と現れ大盛況のイベントになった。

セッションとは別に昨年から「農園クラブ」と「TEC系工作クラブ」の2つのクラブ活動を試みてきた。「農園クラブ」は隔月CAMPの「blanClass農園化計画」と連動しながら進めてきたのだが、特に夏の猛烈な暑さの中で実感してきたことは、農作業って、どんな規模のものでも365日べったり野菜と付き合うことなのだということ。正直心身ともに疲れてしまって、12月で一旦お休みすることにした。もしまたなにかの形で再開をするとしたら、改善点はたくさんある。もう1つの「TEC系工作クラブ」の方も、遅々として進まず、少しだけ工作室の工事が進んだくらい。でも2つのクラブ運営での成果は、実は渡邉曜くんに助けてもらって進めている改修工事。秋には電気工事のスペシャリスト、ミルク倉庫の坂川弘太さんにきてもらって、少しだけ電気工事もした。クラブ活動の運営は、いろいろと難題が多く、今後の継続が危ぶまれるところだが、もっと足元というか、改修工事をDIYしていると、実に考えることが多くて、そこからまたなにかが立ち上がらないかを期待しつつ、工事は続けていこうと思っている。

今年はスーパー台風と塩害(一晩で野菜は溶けてしまった)もすごかったが、最も忘れられないのは、あの夏のとんでもない暑さ。屋外で作業に没頭して、意識が飛ぶのか、あっという間に時間が過ぎてしまい、熱中症ギリギリなことが何度もあった。また今年は平成最後というキーワードで、この30年を振り返ることがメディアを賑わしていたが、この30年はデジタル化の波と災害の波とがものすごい勢いで生活圏にまで押し寄せてきたと感じる。そんな現状で、この後の30年はおろか5年先のためにもなんの準備もできていないような気持ちに襲われて、どうしようもなく不安になる。そろそろ、また次のなにかのために、なにかの準備を始めなければとの思いだけは募って、途方にくれている。

小林晴夫(2018.12.31)


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