もうずいぶん昔の話になるが、湾岸戦争中のニューヨークで「反戦の集い」を名目にしたパフォーマンス・マラソンに行ったことがある。にぎやかな会で、明るいKlezmerの演奏に始まって、コミカルだったり、過激だったりするパフォーマンスが夜っぴいて展開された。時折、激しい議論の場に変貌する一幕もあったが、終止楽しい雰囲気に満たされた会だった。その独特な雰囲気と「反戦」のギャップに戸惑い、一緒に来ていた友人になぜこんな会を開く必要があるのかを訪ねた。彼は「なにかのアクションを企てるにせよ、まずは同じ意見を持った人たちが集まって、意思を確認することが必要なんだ」と説明してくれた。生まれて初めて戦時下の不思議な夜を味わって、その楽しいひとときがかけがえのない時間となった。

blanClassに毎月お呼びするようになってから1年になるCAMPのディレクター井上文雄は口癖のように「楽しくなければいけない」と言う。CAMPを運営する唯一の目的は自身が楽しむことなのだそうだ。

そういえばBゼミの主宰者だった父の小林昭夫も始終似たようなことを言っていた。「Bゼミを続けている理由は自分が勉強をするのに、最も手っ取り早い方法だから」というわけ。

たぶん私も同じように考えているに違いない。一人でなにものをかを考えるのはしんどい。どうせなら誰かがなにかをひらめくその瞬間に立ち会って、できるかどうかわからない翻訳を施しつつ、交換でき得る最善の言葉を手探りしていたいのだ。

「娯楽」と言ってしまうと、誤解を招くかもしれないし、「楽しい」と言っても同じことだが、その「楽しい娯楽」に「シリアス」さが加わるとわけが違う。切実であればあるほどに、脳が縮むほどストレスフルな時間になってしまうかもしれないが、そういう時間がなければ死んでしまう。

最近、blanClassがほんの少しだけ消費されて、間違ったイメージを持たれていないかが心配になる。もちろんただふざけているわけでも、観客に媚び諂って、いわゆる「娯楽」を提供しようとしているわけでもないが、くそまじめに構えているわけでもない。世に叛乱する、紋切り型の楽しみとは、違う種類の「楽しくって、シリアスな娯楽」みたいなものが、ここでは展開しているのだ。

さて11月—12月のblanClassは森美術館10周年記念展「六本木クロッシング2013|アウト・オブ・ダウト」展の関連企画である「ディスカーシブ・プラットフォーム」に参加することになり、森美術館に2回出張することになった。出張内容は、11月16日(土)に3.11以降にblanClassで発表された眞島竜男作品の再演、12月14日(土)には、これまでステューデントナイトに出演した若いアーティストたちからエントリーしてもらい、さらにweb投票や最終審査を通過した選抜10組+αのパフォーマンスマラソンという、2つの企画。ちっとも「ディスカーシブ」ではない気もするが、「表現ありき」がblanClassの心情なのでしょうがない。それぞれトークやインタビューの時間もあるので、それなりに「ディスカーシブ」感も味わえるかもしれない。

2つ目の企画の最終審査はAITに出張して、The Academy of Alter-Globalizationと森田浩彰を審査員に迎え、ユニークかつオリジナルな方法で、12/14に出演する作家たちを選考する。この最終選考会自体もある主張を持ったパフォーマンスでもあり、参加者と共にいろいろと(たとえばフェアネスについて)考えを巡らせていきたい。

blanClassが出張する代わり(仕返し)に、森美術館とAITをblanClassにゲストとしてお招きすることにした。当然のことながらお呼びする条件はほかのゲストと一緒で、ワンナイトで完結することならばどんなことでもOK。これらも楽しみ…。

ほかにも最若手の作家、藤川琢史は測り続けるし、画家として佐々木健は生本番で絵(私を)を描くし、今年最後のLive Artは1年ぶりに池宮中夫ソロダンス。11月から3ヶ月間、中村達哉ダンス・ワークショップも始まるし、と目白押しのblanClassをどうぞよろしく。

 

小林 晴夫(2013.11-12チラシ掲載)

 


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