Statement

楽観的にいきましょう

現在の金融型資本主義経済をこのまま放っておくと、世界中の経済格差は開いていく一方なのだそうだ。ということは、オリンピックで盛りあがって、久々のバブルがやってきて、景気が良くなればなるほど、ごく一部の冨が膨れ上がるだけで、貧困はより一層深刻化していくということだ。

そして格差を食い止める方法は、富裕層に重い税を課していくか、中間層や貧困層の所得を底上げしていくかの2つの選択肢しかないという話になる。当然富裕層や財界は重い税に対して猛烈な反発をするだろうし、どちらかといえば強い力を持って権力を誘導するだろう。反対に中間層や貧困層は権力に対して不満を溜めてくことになる。

表面的には多種多様なジャンルの情報が飛び交っているように見えるけれど、実際には支配的な価値観を真ん中に置いて、二極化が進んでいる。その根っこの思想は1つの経済に向かって回収されていくようなのだ。

たとえうまくして格差が縮まったとしても、なぜか面白い未来が想像できない。そうなったら、今以上に階層が安定した状態で固定化してしまう気がするからだ。それどころか、もうとっくに意外な場所に意外な人材が出てくる気配がしない。適材適所に人が配置されているといえば聞こえがいいが、新陳代謝といったらいいか、もっとデタラメに階層がシャッフルされて、どこにいっても場違いな人がいて、無茶な挑戦をしていたらいいのにと思う。

そうした経済だけを根拠にした現状に気がついてしまうと、偏見に満ちた悲観的なムードも無理からぬことだと思う。しかも悲観的な考え方は狭く見れば、いかにも辻褄が合っている。でもやっぱりそれは考えることをあきらめる姿勢にほかならない。悲観的なムードが高まれば高まるほど、どうせろくなことは起こらないに決まっているのだ。

もちろん自分が目の当たりにしている貧困にもゾッとするが、あえて楽観的に考えることにしたい。たとえば格差を縮める方法は本当に2つの選択肢しかないのだろうか? 経済が向かうべき方向は本当にたった1つしかないのだろうか? もしもそれが免れないことであったとしても、個人のレベルや小さなシステムでこそ試せることもあるのではないだろうか? お金持ちにしてやられるだけでなく、お国の政策を頼りにするだけでなく、だれかに媚びるわけでもなく、なにかとてもオリジナルな経済がそこここに実践されることを期待してやまない。

さてblanClassも6年目に入りました。期待しているだけでもいけないので、アートをツールにこれからも、あれやこれやとあくまでも楽観的にやっていきます。

小林晴夫(2014.10-12チラシ掲載)


11月、12月のblanClassは、Live Artに「3日連続CAMP」、伊藤丈紘監督「アウトゼア」公開撮影、初の試みとして「しおじりまちの教室」に出張、加えて初登場の松田修、原田賢幸、高橋耕平、平倉圭と盛りだくさん。月イチ・セッションはCAMP「えをかくこと」、杉田敦「ナノスクール」、岸井大輔「アジアで上演する」。そして今年最後のイベントは現在ARTiT「質問する」で往復書簡を交わしている田中功起が久しぶりに「不安定なタスクシリーズ」を展開します。


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